平成31年度の当初予算を始め、諸議案の審議に先立ちまして、施政方針について、御説明します。
この1年を振り返りますと、平成30年7月豪雨を始め、大阪府北部を震源とする地震や北海道胆振東部地震、台風21号に伴う強風や高潮など、全国的に、多くの自然災害が発生しました。本市においても、7月に観測史上最大となる記録的な豪雨により、2人の方が亡くなるなど、甚大な被害が発生しました。改めて、災害に対する日頃の備えの大切さや、避難行動につながる情報伝達の難しさなどを痛感したところです。引き続き、国や県と、早期の災害復旧を図るとともに、地域の防災力を高め、災害に強いまちづくりを目指してまいります。
また、平成31年度からは、総合計画の後期基本計画がスタートいたします。前期の計画期間中は、こども医療費助成制度の対象年齢の拡大と所得制限の撤廃や市立小中学校給食費の無償化などの子育て支援策の充実を図るとともに、岩国駅の東西自由通路及び橋上駅舎を始め、いわくに消防防災センターや岩国シロヘビの館の完成、愛宕スポーツコンプレックスのオープン、岩国市民文化会館のリニューアル、玖珂小学校の統合改築や小中学校の普通教室の空調設備整備などを行ってまいりました。
私は、これまでも、「夢をかたちに」をモットーに、まちづくりの夢とビジョンの実現に向けてまい進してきたところであり、これからも皆様が夢と希望を持てる岩国の未来に向け、スピード感を持ってまちづくりに取り組んでまいります。
米軍再編につきましては、昨年3月末に空母艦載機の移駐が完了してから、1年近くが経過しようとしています。この間、市民の皆様の中には、騒音増大や航空機事故などに対する不安や懸念の声があります。
こうした中、市としましては、市民の安心・安全を最優先に確保するという方針の下、国の外交防衛政策を尊重し、これに協力する一方で、国に対して言うべきことは言うという基本姿勢を今後も堅持し、基地の諸問題に対応してまいります。
騒音対策につきましては、継続して、騒音や飛行運用の実態把握とその検証を行うとともに、実情に即した住宅防音など、十分な騒音対策を講ずるよう、国に求めてまいります。
特に、防音工事の対象を事務所・店舗等へ拡大することにつきましては、市民や議会から強い要望がありますことから、国に対し、実現に向け、強く働き掛けてまいります。
また、情報収集体制の強化・充実につきましても、岩国基地に関する苦情ダイヤルのフリーダイヤル化を始め、基地情報提供協力員の増員に加え、基地対策嘱託員の配置を行っており、市民の皆様の不安や懸念をしっかりと受け止め、安心・安全対策の充実に向け、全力で取り組んでまいります。
一方で、空母艦載機の移駐完了により、基地関係者の人口は、1万人を超えると見込まれています。
市民と基地関係者が、同じ地域で生活する良き隣人として、友好と交流を深め、より一層の信頼関係を築くことは、安心・安全で住みやすいまちにつながっていくものであり、日米友好のシンボルである、愛宕スポーツコンプレックスにおいて、日米親善リレーマラソンや岩国フレンドシップフリーマーケットなど、日米交流事業を積極的に推進してまいります。
それでは、総合計画に掲げております、まちづくりの将来像「豊かな自然と歴史に包まれ、笑顔と活力あふれる交流のまち岩国」を実現するための6つの基本目標とそれを支える行政経営について、主な取組を申し上げます。
子育て支援につきましては、本年10月に予定される消費税率の引上げに伴い、幼児教育の無償化が図られる予定となっています。本市としましても、国の施策を着実に推進していくとともに、安心して子供を生み、育てることができるまちとして、引き続き子育て支援の充実に向けて取り組んでまいります。
保育事業の充実は、仕事と子育てを両立する上で、欠かせないものであり、病児保育事業の拡充や年末時期の特別保育に対する補助など、子育て家庭の多様化するニーズに対応してまいります。
子育て世代包括支援センターにおいては、妊娠から出産、そして子育てにわたり、切れ目のないきめ細かな相談・支援や関係機関とのネットワークを構築し、全ての子供の健やかな成長を目指します。
また、小学生を持つ子育て家庭への支援として、東小・中学校の校舎建設に併せ校舎内に放課後児童教室の整備を進めるほか、米川小学校敷地内への放課後児童教室の整備や、麻里布放課後児童教室の拡充を進めてまいります。
さらに、子供が安心して医療を受けることができるように、インフルエンザ等の予防接種費用の助成やこども医療費助成制度を継続するとともに、保護者の経済的負担を軽減するため市立小中学校の給食費無償化を引き続き実施してまいります。
健康づくりにつきましては、本年3月策定の「第2次岩国市健康づくり計画いきいき・わくわく・にっこり岩国」に基づき、市民一人ひとりがその人らしく生活できる“豊かな人生”を目指し、家庭、学校、職域、地域で取り組む健康づくりを、関係機関や関係団体と連携・協働しながら推進してまいります。
高齢者が安心して生活できる環境づくりにつきましては、「岩国市高齢者保健福祉計画」を踏まえ、高齢者保健福祉施策の総合的な推進と介護保険事業の円滑な実施に努めてまいります。
さらに、医療、介護、介護予防、住まい及び生活支援が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」の深化・推進を図るため、市民組織、関係機関、関係団体と連携・協働し、高齢者が住み慣れた地域で安心していきいきと暮らすことができるよう、取り組んでまいります。
医療体制につきましては、誰もが安心して医療を受けることができるよう、県や医師会等の関係機関と連携を図り、医療提供体制の堅持に努めてまいります。
また、中山間地域の中核病院の一つである市立美和病院の移転新築に向け、新病院建設事業を進めてまいります。
観光振興の推進につきましては、山口県では、平成31年度から「YAMAGUCHI MAGIC!」のキャッチフレーズの下、新たな観光プロモーションが始まります。また、広島県では平成32年度の「せとうち広島デスティネーションキャンペーン」に向けた取組が始まるため、山口・広島両県と連携し、本市の観光資源を積極的に情報発信するなど、広域観光の推進に取り組んでまいります。
また、外国人観光客の誘客への取組につきましては、錦帯橋や清流錦川を始めとした魅力的な観光資源や「甲冑体験」「錦帯橋のう飼」などの観光企画を積極的に情報発信するとともに、案内板等の多言語表記など受入環境の基盤整備にも取り組んでまいります。
また、創立70周年を迎える岩国市観光協会を始め市内の各観光協会や岩国観光プロモーション戦略協議会などの関係機関との連携を一層強化し、広域的な施策を戦略的かつ効果的に行い、観光を活用した交流人口の拡大に努めてまいります。
このほか、観光交流や地域振興に資する航空博物館の整備の実現に向け、官民一体となって、国に対し整備を要望してまいります。
企業誘致につきましては、「地域経済の活性化」「雇用機会の拡大」「税収の増加」など、様々な波及効果が期待されています。誘致対象の業種についても、情報インフラの整備が進む中で、大規模投資を必要としないIT関連企業などにも支援制度を導入し、誘致を積極的に取り組んでまいります。あわせて、岩国錦帯橋空港の立地による航空関連産業の誘致や防衛装備庁艦艇装備研究所の試験評価施設に関連する企業や産業の誘致も進めてまいります。
また、温暖な気候と地震のリスクの少ない地域としての企業立地の「地理的優位性」や、岩国錦帯橋空港を始めとする「充実した交通インフラ」、乳幼児から中学生までの医療費や市立小中学校給食費の無償化等の「充実した子育て環境」など、本市のセールスポイントを活かし、より多くの企業が本市に進出されるよう、私自らも精力的にトップセールスを行ってまいります。
中心市街地の活性化につきましては、「岩国市中心市街地活性化基本計画」に掲載された54事業を官民が連携して推進しています。
引き続き、経営基盤や組織体制が強化された株式会社街づくり岩国を中心に、にぎわいのあるまちづくりに取り組むとともに、岩国駅周辺における民間事業者による自主的なまちづくりについても、官民それぞれの役割分担を踏まえながら連携し、事業の推進を図ってまいります。
(仮称)山口県東部産業振興センターの整備につきましては、経営・技術・人材育成などの産業振興支援を担う拠点となり、併せて交流やにぎわいの創出にもつながる施設となるよう、県に要望してまいります。
岩国錦帯橋空港につきましては、開港7年目を迎える中、年間利用者数は、2年連続50万人を超えることが見込まれるなど、堅調な利用状況にあり、引き続き利用促進に努めるとともに、沖縄線の定着化に向けて取り組んでまいります。
また、空港施設面では、飲食施設や団体待合室等が整備され、更に充実した施設となります。今後も県や関係機関との連携の下、当空港の利便性の高さを積極的にPRするなど、空港の利活用による地域経済の進展に努めてまいります。
シティプロモーションの推進につきましては、子育て世代をターゲットに、本市の魅力である充実した子育て支援施策や盛んな国際交流などを効果的に発信し、本市の魅力度や認知度の向上を図っております。
昨年11月には株式会社街づくり岩国により設置された移住定住相談窓口での相談業務が開始され、来月にはモニターツアーの実施が予定されています。引き続き魅力の発信強化を図るとともに、ターゲットである子育て世代の移住・定住の促進を行ってまいります。
地域ブランドの推進につきましては、平成29年度に官民協働の「岩国ブランド推進協議会」を立ち上げるとともに、特産品のプロモーション活動、商品開発支援、地域商社設立支援等の取組を行ってまいりました。
今後は、市場開拓や商品開発を担う専門人材や、平成31年度中に設立される予定の地域商社と連携し、本市の特産品の地域ブランド化を更に推進してまいります。
幹線道路につきましては、広域的な都市間ネットワークの充実・強化を図る重要な道路であるとともに、渋滞緩和や災害に強い道づくり、岩国錦帯橋空港などの地域拠点施設へのアクセス向上の観点等からも不可欠のものであることから、岩国大竹道路の早期完成、岩国南バイパスの南伸の早期事業化及び岩国西バイパスの早期実現について、官民一体で国や県に対し強く要望してまいります。
岩国駅周辺整備事業につきましては、平成31年度の東西駅前広場の再整備をもって完了する予定であり、市の玄関口としてふさわしい交通結節点となるよう、着実に事業を進めてまいります。
南岩国駅につきましては、昨年10月にJR西日本と駅舎移転整備の施行に関する「基本協定書」を締結しており、バリアフリー化された新駅舎が平成33年春頃に供用開始される予定となっております。
また、国道188号と高さをそろえて整備をする駅前広場につきましては、平成35年度の完成を目指します。
これらの事業は、長期未着手となっている「南岩国駅前地区土地区画整理事業」の見直しを進める中、先行的に実施するもので、南岩国駅を中心とした将来のまちづくりを市民の皆様の御意見を伺いながら検討してまいります。
新しいごみ焼却施設「サンライズクリーンセンター」につきましては、試運転の開始に伴い、第一工場に搬入していた焼却ごみを、昨年12月から受け入れています。4月からは、由宇町、玖珂町及び周東町の焼却ごみも受け入れ、本格稼働となる予定です。
また、隣接地には、「サンライズクリーンセンター」から供給される電力や余熱を利用した「温水利用型健康運動施設」や「多目的広場」等からなる公園を、平成31年度の完成を目指し整備してまいります。
愛宕山まちづくり区域において整備を進めている多目的広場につきましては、平常時には市民の誰もが憩い、集える施設として、災害発生時には医療センターや防災センターと連携し、近隣地域の避難所や物資の輸送拠点として活用することとし、平成32年度の完成を目指し、整備してまいります。
防災対策につきましては、民間気象会社からの気象情報や土砂災害の発生危険度を示す新たな指標を導入し、災害発生の事前予測体制の整備を進めるとともに、災害情報の共有化を図るためのシステムを導入してまいります。
また、迅速な避難情報の伝達のため、引き続き防災行政無線の屋内受信機の整備を行うとともに、地域の防災力向上に向け自主防災組織の取組を支援してまいります。
平成32年4月には、現在の岩国地区消防組合中央消防署玖西出張所及び玖珂機関員駐在所の消防庁舎を統合移転する予定としております。これにより、救急車両等の増車を始めとする消防力の強化が図られ、玖西地域はもとより、南河内、北河内地区への火災、救急出動にも迅速かつ機動的に対応できるようになり、地域の安心・安全が向上するものと考えています。
近年の豪雨により冠水が多発する地区においては、浸水対策の検討を行うとともに、排水路の改修やポンプ場の整備を進めていくことで、内水氾濫による浸水被害の軽減を図ってまいります。
また、土砂災害の防止を図るために、急傾斜地崩壊対策事業を推進していくとともに、県が指定した「土砂災害特別警戒区域」について、関係する方々への啓発活動に努めてまいります。
黒磯地区の岩国医療センター跡地につきましては、「誰もが支えあう地域支援と交流のまち」を将来像とした構想に基づき、総合的な福祉・交流拠点の実現を目指しており、平成30年度から平成31年度までの2か年をかけ、基本計画、基本設計を策定してまいります。
安心・安全対策につきましては、自治会が維持管理を行う防犯灯の電気料金の全額助成を継続するとともに、平成32年度までに、犯罪や事故等の未然防止のため、岩国警察署とも協議の上、不特定多数の人が往来する道路や公共の場所を対象に約160台の防犯カメラを設置してまいります。
さらに、関係機関と連携して、米軍関係者を対象とした交通安全講習会を引き続き開催し、交通事故の防止に努めてまいります。
地域連携教育につきましては、コミュニティ・スクールを核として、中学校区ごとに構築された地域協育ネットの仕組みを活かして、学校・家庭・地域が連携・協働し、子供たちの学びや育ちを支援し、「地域とともにある学校づくり」を推進するとともに、「学校を核とした人づくり・地域づくり」への取組も併せて推進してまいります。
また、「岩国市小中一貫教育」の基本方針・基本計画の下、義務教育9年間を通して継続的で一貫性のある教育を推進し、児童生徒一人ひとりの個性を伸ばし、それぞれの夢の実現につなげてまいります。
教育環境の充実につきましては、小・中学校の講堂の天井落下防止やトイレの洋式化、特別教室の空調設備の整備など、安心・安全で快適な学習環境の整備を進めるとともに、東小・中一貫校の校舎建設や施設の老朽化に伴う改修・改築等についても着実に取り組んでまいります。
また、4月には、由宇・通津・灘地区の不登校児童生徒の自立を支援するため、新たに教育支援教室を由宇総合支所内に設置します。
文化・芸術の振興につきましては、岩国市文化芸術振興財団と緊密に連携し、子供から高齢者まで幅広い年代層を対象とした優れた文化芸術の鑑賞・参加の機会の提供や文化芸術活動への支援に努め、「文化芸術創造都市」の実現に向けて事業を展開してまいります。
また、昨年リニューアルオープンし、利便性が大きく向上した岩国市民文化会館につきましては、本市の文化芸術を創造・発信する拠点施設として、積極的に活用を図ってまいります。
このほか、4月には吉香公園内の吉香茶室が装いも新たにオープンします。これに伴い、リニューアル記念イベントやお茶会等を開催し、茶道関係者を始め、より多くの市民に親しまれる施設となるよう努めてまいります。
文化財の保護・活用につきましては、錦帯橋の世界文化遺産登録に向けた取組において、新たな提案書を作成し、昨年12月、文部科学大臣に提出しました。引き続き世界遺産暫定一覧表に早期に記載されることを目指し、文化庁に対して積極的な働き掛けを行ってまいります。
また、県や関係団体と連携し、登録に向けた市民意識の向上を図るとともに、錦帯橋の価値を広く国内外に発信する事業を展開してまいります。
さらに、平成31年度は、5年に1度の錦帯橋の健全度調査と保全工事を実施します。この調査・工事により、岩国の宝である錦帯橋が、今後も美しい姿を保ち、安全に入橋できるよう適切な管理を行ってまいります。
また、旧藤河中学校跡地に新たにシロヘビ屋外飼育場を建設するほか、宇佐川におけるオオサンショウウオの繁殖生息地の復元や中津居館跡発掘調査など、文化財の適切な保存活用に取り組んでまいります。
スポーツ活動の推進につきましては、「スポーツでいわくにを元気に!」を理念に、市民健康スポーツのつどい等のスポーツイベントへの参加促進を図るなど、生涯スポーツ社会の実現を目指してまいります。
国際交流や地域スポーツの活性化を目指し、東京2020オリンピック・パラリンピック大会に向けて、アメリカナショナルチームを中心としたソフトボールやフェンシングの世界大会等における事前キャンプ地誘致活動を積極的に進めてまいります。
また、昨年に全面オープンした愛宕スポーツコンプレックスにつきましては、日米親善リレーマラソン等の日米交流イベントのほか、日米大学野球選手権大会や高校野球公式試合の開催、各種イベントを実施し、施設の更なる活用に取り組んでまいります。
県立武道館の整備につきましては、早期建設に向けて、県及びスポーツ団体等と連携を図ってまいります。
国際交流の推進につきましては、在留外国人や基地関係者と市民が参加できる交流事業を展開し、多文化共生の地域づくりに引き続き取り組むとともに、市民の国際感覚や多文化理解意識を高めてまいります。
また、ホストタウン事業では、オリンピックなどのキャンプ地誘致を進める一方、受入れに必要な態勢を整え、合宿が実施された際には、スポーツ交流のみではなく文化交流も併せて行うことで、幅広く友好の絆を深めてまいります。
また、近年の急速なグローバル化の中で、コミュニケーション能力はますます重要となっており、児童生徒の国際共通語である英語力の向上が喫緊の課題となっています。本市においては、日本語や日本文化を大切にしながらも、基地を地域資源として英語教育の充実や国際交流事業を積極的に推進することで、「英語交流のまち」として、グローバル人材の育成を図ってまいります。
協働のまちづくりにつきましては、市民一人ひとりが地域社会の一員であるという意識の醸成に努めながら、地域課題や社会課題に柔軟に対応できるよう、市民活動団体や自治会といった多様な主体が広範囲に連携し、それぞれの長所を活かした体制を構築するとともに、併せて地域づくりを行う多様な担い手の育成を図るなど、市全体に協働の輪を広げてまいります。
中山間地域の振興につきましては、持続可能で活力ある地域づくりを推進していくために、地域の皆様と協働で、地域おこし協力隊などの外部人材の活用のほか、交流人口・関係人口の増加の取組とも連携した田舎暮らし促進事業などを展開し、移住・定住の促進を図り、地域力の維持や活性化に努めてまいります。
農林水産業につきましては、安心・安全な食料の供給という役割に加え、農地や森林は、国土の保全や水源かん養、災害の防止といった多面的な機能を有しています。また、海や川といった市民の身近な憩いの場でもある自然環境が、地域の暮らしや産業を支えています。
本市の豊かな自然から生み出される農林水産物等の資源を次世代に引き継ぐためにも、「岩国市農林業振興基本計画」及び「岩国市水産業振興基本計画」に基づき、地域資源や特性を活かし、持続可能な農林水産業の振興を図ってまいります。
行政経営改革の推進につきましては、本年3月改定の「行政経営改革プラン」において、サービス力の向上、地域力の向上、人材・組織力の強化、財政力の強化の4つの基本目標を掲げるとともに、この基本目標を効果的に達成するための方策を個々に定め、基本理念の「市民の満足度の向上と持続可能な行政経営の実現」に向けて、効率的、効果的な行政経営に取り組んでまいります。
そのほか、玖珂・周東地域の庁舎整備に当たっては、行政サービスの拠点としてだけでなく、市民活動や防災の拠点として、また、多様で総合的な機能が発揮できる複合施設として、平成32年10月の供用開始を目指し整備を進めてまいります。
公共施設等マネジメントの推進につきましては、平成29年度に策定した「岩国市公共施設等総合管理計画」及び「岩国市公共施設等アクションプラン」に基づき、公共施設等の質と量の最適化に取り組んでまいります。
また、「公共施設等総合管理基金」を設置して、計画的な公共施設等の保全や建て替え、除却等に必要な経費に充て、公共施設等マネジメントを推進してまいります。
財政運営につきましては、今後の財政見通しとして、歳入では、普通交付税の段階的な縮減などにより、今後の更なる減収が見込まれ、歳出では、平成30年7月豪雨に伴う災害復旧費に加え、高齢化の進展などによる社会保障費や、公共施設等の維持管理・更新などに多額の財源を要することから、これからも厳しい財政状況が続くものと見込んでいます。
また、大規模事業の実施に伴い市債残高は増加に転じており、公債費の増加が将来の財政負担となることが懸念されます。
こうしたことを踏まえ、今後の財政状況を注視しながら、総合計画や「岩国市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に沿ったまちづくりに必要な施策を着実に実施していくとともに、財政計画に基づき、歳入の確保や歳出の合理化などに取り組み、財政基盤の強化に努めてまいります。
最後になりますが、我が国の人口減少は深刻な状況となっています。このような中、本市にあっては、平成27年度に策定した「岩国市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、「人口減少の抑制」と「地域活力の向上」に取り組んだ結果、子育て世代を中心に、転入転出の社会増減において改善を見たところです。平成31年度は、この総合戦略の最終年度となることから、現総合戦略の総仕上げを行うとともに、本市の地方創生の取組を次のステージに進めるため、次期総合戦略を策定してまいります。
本年は、「平成」が終わり、新たな元号を迎える節目の年であります。このような時代の節目にあって、この先、子や孫の世代、さらにはその先の世代まで「住み続けたい」、「住んでみたい」と思っていただけるような魅力あるまちとなるよう、今後とも、全力で取り組む決意であります。議員各位を始め、市民の皆様の御支援と御協力を賜りますようお願いを申し上げまして、私の施政方針といたします。