今回、登場していただいたのは放送大学特任教授・山口学習センター所長(山口大学名誉教授)の岡村康夫さんでした。
【吉香公園周辺散策】
文中でも語られていたように、岩国高等学校出身の岡村さん。ちょうど校舎の移転時に在学していたため、1年生の時は横山にあった旧校舎(現在の吉香公園内)へ通われていました。
岡村さんは当時を懐かしみながら、校門や校舎のあった位置などを教えてくださいました。公園内にある木造の建物は、当時の武道場にあたるそうです。現在は横山自治会館として使われています。
錦帯橋のほど近くに位置する「おみやげ軽食喫茶K」は、岡村さんの高校時代のご友人が営業するお土産屋さんです。実は、このことについて驚きのエピソードがあります。岡村さんは数年前にご友人が亡くなったと聞いていたため、お店に伺うことに少々躊躇いを感じておられたのですが、実際に伺ってみたところ、なんとご友人はご健在だったのです!岡村さんの驚きと安堵、そして嬉しさが伝わってくるようでした。十数年ぶりに再会したお二人は、当時の話や現況についてなど、様々な話に花を咲かせていました。
【スエヒロ欽明路店】
帰省した際には、よくここのラーメンを食べるんですよ、と教えてくださったため、今回の取材での昼食はスエヒロ欽明路店さんに決定!
注文を終え、ラーメンを待っていると隣から「あれ?久しぶり!」との声が。隣の席に案内されたのは、なんと岡村さんの従兄弟にあたるお方でした。久しぶりに顔を合わせたお二人は、和気あいあいとお互いの近況などを報告しあいながらラーメンに舌鼓をうっていました。こんな偶然もあるんですね。
【柱野小学校】
旧校舎(移転前)の模型や石碑など、当時の面影を求めてお邪魔した柱野小学校であたたかく出迎えてくださった山根校長先生と赤木教頭先生。お話をするうちに、山根校長先生は山口大学の教育学部出身だったことが判明しました。岡村さんが山口大学教育学部に着任する少し前に在学されていたようで、お互いに知っている教授や大学構内の話などで盛り上がっていました。
その後、在校生全員で取り組む柱野太鼓の練習を見学させていただきました。柱野太鼓は柱野小学校において長年の歴史がある取り組みで、これまで運動会や音楽会など様々な場所で披露されてきました。今年は、柱野小学校の行事の一つであるスポーツフェスタにて披露したそうです。体育館に響き渡る力強い音は圧巻でした!
岡村さんは現在、放送大学特任教授・山口学習センター所長として、山口大学の敷地内にある山口学習センターで勤務されています。
放送大学は、BSテレビ・ラジオ・インターネットの放送授業並びに各学習センターでの面接授業を通じて、『いつでも、誰でも、どこでも』レベルの高い学習ができる、生涯学習の時代にふさわしい通信制の大学です。また、他大学との単位互換の推進にも力を入れており、単位互換制度を利用して、通っている大学では開設するのが難しい分野の科目を履修することも可能とのこと。
放送大学では公開講座も実施されています。学生の方だけでなく一般の方も無料で参加できる公開講座ということで、興味のあるテーマがあれば誰でも気軽に参加することができます。(※事前に申し込みが必要です。)
取材の数日前、ちょうど岡村さんの公開講座が開講されていたので、参加させていただきました。
岡村さんの公開講座「哲学カフェ」は、夏目漱石の「道草」を題材に皆で話を読み進め、漱石の抱えていた思いや感情を哲学的観点から読み解いていく、というものでした。
取材班はこれまでに宗教や哲学について触れる機会があまりなかったため、公開講座にお邪魔する前には、そういった知識のない自分に理解できるだろうかと少し不安になっていました。しかし、実際に受講してみると岡村さんの講義はわかりやすく、哲学的知識がない相手にも伝わるような言葉を使って、漱石の思考や作品に込められた彼の人生について話をしてくださいました。
これまで『哲学』と聞くと、どこかとりつきにくい難しい話題だと思ってしまう部分がありましたが、文学作品を題材とした岡村さんの講義を聞いて、以前より『哲学』を身近に感じることができたように思います。
また、取材当日に柱野駅から西岩国駅まで岩徳線を利用したのですが、ガタンゴトンと揺れる電車の中で、岡村さんにいろいろなお話を伺いました。
「学生さんに教えるにあたって、最終的に身につけてほしいことや最終的にはこんな風になってほしいというような理想像はありますか?」と聞いてみたところ、「高校までの授業と大学の講義では、学生さんに身につけてほしいものは異なるんですよ。」と教えてくださいました。
高校までの授業では知識・理解を中心に、大学の講義ではそれに加えて考察・表現する力を。一方的な情報を鵜吞みにせず、自分で考え表現をしていくことを大切に。かといって、自分の考えが正しいのだとほかの意見を否定するのではなく、人の数ほどいろんな考え方があることを理解してほしい、それが哲学を学ぶのには特に大切なことなんですと岡村さんはやわらかく笑います。
そのお話を伺いながら、岡村さんが学生さんに大切にしてほしいことというのは、哲学を学ぶ方だけでなく、私たちが社会で生きていく上でも大切にすべきことだなと感じました。
そしてさまざまなお話を伺うにあたって、岡村さんはいつも優しく受け止め、とても丁寧にわかりやすく説明をしてくださいました。長年、教育者として生徒たちと向き合ってきたからなのでしょうか。わからないことや知りたいことを質問しやすい雰囲気をお持ちで、取材時も記事編集時もとても頼りにしていました。そういった穏やかであたたかな空気感は岡村さんの魅力のひとつだなと思います。
現在は、放送大学での業務のかたわらで自著3冊目となる本を執筆されているそうです。
これまでに出版された2冊は、下記サイト内で「岡村康夫」さんのお名前で検索をかけると確認できますので、興味のある方は是非!
【図書出版 昭和堂URL】http://www.showado-kyoto.jp/<外部リンク>
今後の更なるご活躍を心よりお祈りいたします。
この度はご出演いただき、ありがとうございました!