今回は建築家の光井純さんに登場していただきました。
「街と建築のデザインを通して社会に貢献する」ことが使命だという光井さんは、「あべのハルカス」などの建築に携わり、数多くの賞を受賞された、日本を代表する建築家の一人です。
【岩国英国語学所】
市内在住の方でも知る人ぞ知る、岩国英国語学所(現岩国市教育資料館)。光井さんは本文中で、専門家としてこの建物の美しさを賛美されています。令和3年には開校150周年を迎える歴史ある建物ですが、1、2階部分が和風で、3階部分は洋風という擬洋風の建物は、今見ても新鮮に感じられます。光井さんは展示されている、岩国英国語学所関係の資料や、かつて使用されていた教科書、当時の様子を偲ばせる生活用品などを熱心にご覧になられ、特に日本のエジソンと称される藤岡市助の業績に関する資料については、その先進性に感嘆されていました。
【門前川の井堰】
取材時はすでに夕方で、人が少なかったですが、さながら親水公園のように、水を近くに感じられ、光井さんが夏休みに毎日通っていたのもうなずけました。本文中に言及されている巨大楠は県の天然記念物に指定されており、間近で見るとその存在感に圧倒されそうでした。
【油政】
江戸時代から続くという、老舗割烹旅館の油政さん。光井さんが留学祝いで、お父様から連れて行ってもらったように、市民にとって特別な日に利用するお店です。築100年以上という店内をご案内いただきましたが、今ではなかなかお目にかかれないような立派な梁など、光井さんも興味深くご覧になっていました。
【岩国高等学校】
学校内を見て回りながら、光井さんが受験勉強の秘訣を教えてくださいました。例えば400ページの参考書をあと200日でやらないといけない、というときは1日2ページを目標にやる、要はまずはゴールを決めて、そこから逆算して日々の目標を設定するという方法です。この方法の素晴らしい点は、大きな目標のときにより効果を発揮することで、英語が話せるようになる!という目標を立てると、できるかどうか自分でも不安になりますが、1日20個英単語を覚えるという目標ならできそうな気がします。千里の道も1歩からという格言もありますが、その1歩を踏み出す勇気を与えてくれる方法だと感銘を受けました。
【吉川史料館】
光井さんが来訪されるということで、吉川史料館専務理事の隅喜彦さんが出迎えてくれました。案内していただいて、中庭の見えるロビーでしばし歓談されました。ロビーからの景色は、昔ながらの蔵と庭園と城山で占められていて、一瞬、タイムスリップしたような気分が味わえます。
今回、取材に同行させていただきましたが、光井さんは気さくにお話してくださり、ご自身の学生時代の思い出や、岩国市の歴史のことなどを語っていただきました。その中で再認識したのは、伝統的に岩国市は教育に熱心だったということ。その教育も画一的なものではなく、「自分のやりたいことは自分で決めろ」と光井さんが高校時代に恩師から言われたように、自主性を重んじるものだったことを、改めて感じました。
「岩国の外で得たことを、岩国に還元していきたい」
そう仰る光井さんは、その言葉通りに2018年にご自身の経営される光井純&アソシエーツ建築設計事務所の西日本・岩国オフィスを開設。以来、黒磯地区交流拠点づくりプロジェクトや、英語のまちIwakuni創生プロジェクトなど、本市の未来をかたちづくる事業に携わっておられます。そこには岩国という環境の中で育てられたことへの、矜持のようなものを感じます。
現在、光井純&アソシエーツ建築設計事務所により、岩国駅東口に建設予定の「英語交流のまち推進センター(仮称)」の設計が進められています。再来年(令和4年)の3月に同施設が完成したときには、光井さんの想いがまた一つ実現するのかもしれません。
これからの光井さんのご活躍も期待しております。今回は出演いただきありがとうございました。