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リトミック 善本桂子さん その6

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年4月1日更新

 リトミックって何ですか? 何度この質問をいただいたことでしょう。そうです、リトミックって音楽なのです。音楽を、身体を動かして学んでいくものなのです。

 

 しかし音楽と動きを結び付けたものは多く、そのほとんどがリズムあそびやリズム体操などと呼ばれていますが、リトミックはあそびや体操とは違います。例えば体操にも音楽がついてくることが多々ありますが、筋肉をストレッチしたり弛緩したりするねらいがあります。一方リトミックは音楽ですから、その動きの中には音楽的なねらいがあります。例えば、高い音を聴いて手を上げたり立ち上がったりすることには、高い音を知るというねらいがあり、音楽に合わせて歩くときはビートや四分音符が存在してくるわけです。そこに強い音が聴こえると力強くフォルテで元気に歩き、弱い音が聴こえるとピアノでそっと歩くという具合に。必ず音楽を知るねらいがあり、聴きながら身体を動かして体験していくことで身体が自然に覚えていくのです。

 初めてリトミックを経験するとき、まず耳を傾けて音楽の流れを知ります。心地よく流れる音が耳から身体の中に入ってきます。その流れが止まると あれ?と気づき動きが止まります。これを即時反応(クイックレスポンス)と言い、聴いたらできるだけ早く反応できるようにと何度も繰り返していきます。さらにその次は?と一生懸命になります。ここで併せて集中力や反射神経が養われます。そして高い音低い音、強い音弱い音などさまざまな音が分かってくると、音符につながっていきます。音符はパターンへ。パターンはフレーズへ。そしてその中に拍子が存在してきます。

 子どもたちはしっかり聴きながら何度も繰り返して体験しながら学んでいるのです。
例えば、私はよく、歩いたり、走ったり、スキップしたり、転がったり、方向を変えたりする時に、それぞれの動きに合わせて曲を弾きますが、「次は〇〇よ。」と言わないようにしています。子どもたちが動きながら聴き、気づいて動きを変えることができるようにしています。すぐに気づいて動きを変える子どももいますが、何度か繰り返しているうちに周りを見、友だちを見て徐々に気づいていく子どももいます。「音楽が変わったから動きも変わるよ。」や、「それ違うよ。」と言葉で言うのではなく、子どもたちが自分自身で気づいていくことが大切だと思っています

 子どもたちが普段歌っているなじみ深いこどものうたを使って進めることもあります。(歌いながら動くことや、手と足で違うリズムを取ることなど、2つのことを同時に行うことは幼い子どもたちにとって、とても難しいことなのです。)一度にはできません。動いていると自分ができないことがよくわかります。繰り返して次第にできるようになると自分で分かり、嬉しくなります。そして終わった後に、何をしたのか、何ができるようになったのか、振り返ることで達成感となり、またやりたいと次への期待につながります。

リトミックの様子

 

 リトミック=動く と理解される方は多くいらっしゃると思います。しかし、リトミックを発案したエミール・ジャック=ダルクローズ(1865~1950 スイス)は、動くことだけでなく、歌うこと、弾くこと(リズム運動・ソルフェージュ・キーボードハーモニー)の3つの方向から幅広く音楽を知るよう提唱しています。動くだけでなく、歌いながら動いたり、動きに合わせて弾いたりして、同時に複数のことを行い動きに合わせて音楽を創ったりしていきます。また彼は、動くだけでなく見るだけでなく実際にやってみることを勧めています。(実際に見ているととても楽しそうで簡単そうですが、やってみるとなかなか難しいのです。)しかし残念ながら、これらの動きをするための音楽をその場に合わせて即興演奏で行うよう勧めていることが、なかなかリトミックの普及につながらないこととなっています。

 最近では、さまざまな方々に体験していただくことも増えてきました。高齢者の施設へお邪魔した時はリハビリを兼ねて、年を重ねた方々が笑顔で参加してくださいました。また1歳2歳の子どもたちとはお母さんも一緒に楽しい時間を過ごしています。もちろん大人の私たちも音楽に耳をすませて身体を揺らしていくと心地よくなります。まさにゆりかごから墓場まで一生涯続けることができるリトミックなのです。

大人のリトミックとリトミック国際大会

↑(左)大人のリトミック (ピアノのテンポやリズムに合わせてテニスボールをつくのは、大人でもかなり難しいです)

 (右)リトミック国際大会

 

 リトミックで求められる技術的なことはたくさんあります。しかしその中に、心に訴える部分があることを、恩師ジュリア・ブラック先生から学びました。心と感情を発達させるリトミックを経験するととても心地よく落ち着いた気持ちになれます。大決心をしてジュリア先生の下で試験を受けたのは、49歳の夏でした。

シアトル夏期講習と免許状

↑(左)シアトル夏期講習にて  (右)免許状

 

 だんだん年老いて、動きが鈍くなっていく自分がいますが、スキップができて子どもたちの仲間になれる限り、この時間を大切にしていきたいと思います。
 私が生まれ育った大好きなこの岩国の街で、多くの方がこのすばらしいリトミックを知ってくださり、音楽に耳を傾けて、思わず身体を動かして感動し、それを誰かと共有したくなる方が増えていきますよう、心より願っております。

 

 最後に。このたび岩国市総務部広報戦略課の方々にはたいへんお世話になりました。各地での取材希望の段取りをつけてくださり、同行してくださいました。
 また、掲載前日の直しにも快く応じてくださったので、気持ちよく思いを書かせていただくことができました。
 お忙しい中で対応してくださったことと、心より感謝申し上げます。
 

 最後までおつき合いくださり、ありがとうございました。

 

 善本 桂子