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岩国中央幼稚園 善本桂子さん その5

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年4月1日更新

 岩国中央幼稚園は、岩国市内でも大きい幼稚園です。今日も多くの子どもたちが、多くの先生方に守られて元気に毎日を過ごしています。

岩国中央幼稚園

 

 どこで聞かれたのでしょうか。ある日突然、現理事長中邑喜根子先生からお電話をいただきました。「私の幼稚園の子どもたちにリトミックを教えていただけませんか」とのことでした。先生も学生時代にリトミックを経験されたとうかがいました。天野蝶先生に習われたとか。天野式リトミックは表現するためにリズム太鼓を使いますが、動きの美しさも追及した授業だったそうです。喜根子先生は、優しさと厳しさの中に几帳面さと愛をもって日々子どもたちとかかわっておられ、音楽と動きをさらに保育に取り入れたい、子どもたちに音に興味を持ってほしい、よく聴いて考える力をもってほしいと仰っていました。今は息子さんの隆哉先生に園長職を譲られていますが、隆哉先生も同じように優しさと厳しさの両方を受け継がれて子どもたちと目線を合わせて接しておられます。
 リトミックを受け持たせていただいてから20年余り経ちました。


 今は、年々少児(3歳未満児)からリトミックの時間を持たせていただいています。まずは、よく見る しっかり聴く 音楽に合わせること からスタートしています。
 よく見る は観察し、色や光などを知ることにつながります。
 しっかり聴く は耳を傾けて聴くことで考えたり理解したりすることにつながります。
 音楽に合わせること は合わせていくことで心地よさが生まれ、物事に協調することにつながります。自分を主張することはとても大事ですが、物事を受け止めるとき一旦自分の中に置いてちょっとだけ我慢して周りの人に合わせる協調性につながってくると考えます。

リトミックの様子

 

 幼いころ、子どもたちは五感のアンテナを伸ばして、いろんなことをキャッチしようとします。見たり聴いたり動いたりしながら身体を動かして学んでいます。遊びながら子どもなりに経験を積み、知らないうちに五感を通じて感性が身についていきます。(大人の私たちにとっても)遊ぶことって楽しいですよね。楽しさと一緒に心や身体の中に記憶されていきます。
 満3歳児組の松本先生は、幼いころに中央幼稚園で私と一緒にリトミックをしました。歩いたり走ったりして、ピアノが止まったら動きを止めたことや、その時周りの友だちを見たことなどをよく覚えておられました。リトミックを経験したことで、音の違いに気づき、そこからイメージを膨らませ、音を聴きながら身体を動かす楽しさを知ったそうです。また、その経験が音楽だけでなく、生活のすべてにつながっていることを、大人になって実感していると話されており、幼少期における経験の重要性をうかがうことができます。リトミックの効果は目に見えるものではありません。すぐには見えないからこそ、幼少期の経験は心の豊かさとなって培われ、ある日思いもかけないような場面で人生の役に立つ要素となってくるのではないかと思いました。

理事長、松本先生と一緒に

↑理事長中邑喜根子先生、松本先生と一緒に


 この日は年長組の子どもたちとのリトミックでした。
歩いたり走ったりスキップをしたりして、ピアノを聴いてすぐに反応する即時反応からスタートしました。多くの子どもはリトミックを始めて3年目になるので、すばやく考えて反応することを取り入れてみました。初めは戸惑っていたようですが、だんだん早く反応でき笑顔が見えました。そのあと拍子あそびをしました。数えながらビートを叩いたり、大きく捉えて小節を歩いたりした後に、音符で確認しました。最後に子どもたちが歌っているこどものうたを弾き、何拍子の曲か聞きました。曲が終わる前に手を叩いたり、数えたりして教えてくれ、振り返りができました。

リトミックの様子

 

 このように音楽を聴きながら合わせて跳んだり歩いたり、走ったり、転がったり、歌ったりいろんなことをして、子どもたちと楽しい時間を過ごしています。
 彼らは私のことを仲間と思ってくれています。思いもかけない質問もとんできます。「ママはいないの?」など。その時間を一番楽しんでいるのは私なのです。

リトミックの様子

 

 中邑先生からは、子どもたちを育てる保育者として心得ておくべきこと、特に子どもたち全体を見つつ一人ひとりに寄り添うことや、彼らの心の変化に気づくことなど、実際に先生が子どもたちとかかわっておられる場面から教わることができました。
 その後、先生方の園内研修会、岩国市私立幼稚園の研修会、山口市で行われた中国地区私立幼稚園研修会など多くの研修に参加させていただくことで、より子どもたちを知ることや子どもたちを育てる心を学びました。

 幼稚園では多くの先生方が子どもたちのために献身的に働いておられます。中でも結婚、出産で退職された先生方が何人も、再び戻ってこられて子どもたちとかかわっておられます。これは、先生方の子どもたちへの愛情もありますが、何より保育者として働きやすい環境を考えておられると思います。懐かしいお顔に出会うのも楽しみです。

教え子の濱田先生・末兼先生と
 
↑教え子の濱田先生・末兼先生と

 この写真の二人は、かつて私が教えていた岩国短期大学の教え子です。主任として、クラス担任として、責任ある立場で長くこの幼稚園で勤務し、頑張ってくれています。
 大学では、この二人のように保育者として働くことを夢見ている学生と多くかかわらせていただきました。彼らがその夢を実現させ、できるだけ長く子どもたちと共にいてくれることを願っています。

 

 善本 桂子