ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 私の岩国 > おはん 松林慎司さんその4

おはん 松林慎司さんその4

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年3月30日更新

小説「おはん」は、岩国市出身の小説家、宇野千代先生が、10年の歳月をかけて望郷の思いを書き上げた代表作です。
その小説を名匠・市川崑監督が映画化。1984年公開。
主演は吉永小百合さん 出演 石坂浩二さん、大原麗子さん。日本アカデミー賞8冠受賞です。
ロケ地は主に近江八幡市なんですが、宇野千代先生がイメージされた町が、子供の頃目に映った岩国だそうです。
その場所を巡ってみたいと思います。
 

臥竜橋(がりょうばし)

臥竜橋の画像

冒頭、幸吉がおはんと再会する橋。
物語の全てが始まります。

食事処よ志多と巴座があった場所 
幸吉が軒先きを借りた場所。
今は食事処よ志多”

人形芝居が行われた巴座という芝居小屋。
元中央フードがあった場所。
今は空き地になっています。

鍛冶屋町と椎尾神社へ続く階段

幸吉が住む、おかよの芸者屋があった鍛治屋町。
昔ながらの細い道が印象的です。
この辺り当時の地名、鉄砲小路、大名小路、曲尺町などそのまま使われてます。

劇中、権現さまの秋祭りが行われた椎尾神社。
階段の周りにおもちゃ屋がたくさん出店。
上って神社の鳥居。とても素敵な場所でした。


悟が落ちた龍江淵

龍江淵の画像

こちら総天然色でございます。
鮮やかさと恐怖を感じさせます。


お茶屋の半月庵

半月庵の画像

劇中何回も出てくる半月庵。現在は割烹旅館です。
「幸福は遠くにあるものでも 人が運んでくるものでもない 自分の心の中にある」
町のいたるところに、宇野千代先生の幸福の言葉があります。
訪れた際は、ぜひ探してみてください。

 
当初行く予定ではなかった宇野千代先生の生家を訪れました。

宇野千代生家の様子

国の登録有形文化財に指定されてまして、日本庭園の春は桜、秋は紅葉が見事です。
庭を歩き回ったり、表札を何度も見たり、机の前に座ってみたり。


おはんバス

おはんバスの外観と車内の画像

車内は生い立ち、功績、作品も展示されてて小さな動く記念館です。


おはんの文学碑

紅葉谷公園にあるおはんの文学碑

紅葉谷公園の敷地内にあります。
ちょうど雨が滴ってて情緒あふれる雰囲気でした。
 

訪れた日はあいにくの雨でした。しかし「おはん」の大きな分岐点は”雨”なんです。
雨は二人の人生を大きく変えてしまいます。この日はそれを再現するように雨でした。
それぞれの場所に行きながら、映画の1シーン1シーンを思い浮かべました。
吉永さんの一歩引いた凛々しさ。
大原さんの切符のいい、気強くそして綺麗さ 。

宇野先生は恋多き女性だったそうです。
二人の女性の生き様を、理想とする自分の中間地点と見立て、石坂さん演じる幸吉という、だらしなく憎めない男性像を求めたのではないでしょうか。

小説「おはん」のあとがきの中で宇野先生はこう言われてます。
小説の客観的な出来ばえとは何の関係もないですけれど、ただ、ながい間、この小説だけにかかっていた作者の一種のもう執のようなものが、作中の人物に反映したような錯覚を、私が持ったのではないかと思います。と。

映画「おはん」は、宇野千代先生と市川崑監督の世界感が、見事に融合された素敵な映画です。
小説「おはん」を読みこの場所を巡って、映画「おはん」を観たら、うなずくくらい新しい発見が待っているはずです。

松林慎司