岩国という場所は、実に様々な面を持っている所だと思います。
私と縁があった場所も、それぞれに違った魅力のある所でした。
そしてそれぞれの場所から、自分の内面や、まんがの内容に多大な影響を受けているなあと、しみじみありがたく感じます。
そういった場所を中心に、紹介させていただきたいと思います。
幼少期に住んだのは、日本製紙(当時は「山パル」でした。今でもついそう呼んでしまいます)の社宅です。
この、もくもく水蒸気の出ている大きな煙突と、その下に立ち並ぶ団地、というのは私には懐かしい原風景です。独特の、ちょっとすっぱい匂いも、懐かしく感じます。
敷地内には神社もありました。よくこのあたりで遊んでいました。
プールもありました。その脇のこのあたりに「秘密基地」を作っていました。ばればれですけども。
ここは銭湯でした。うちにお風呂はあったのですが、たまに広いお風呂に入りに行ったのが楽しかったです。
以前は駄菓子屋や日用品店や定食屋などもあって、団地は一つの町のようでした。
今は、入居者の方も少なくなっていて雰囲気は変わっていましたが、当時の、団地じゅうで大勢の子供たちが遊ぶにぎやかな様子は、ありありと思い浮かびます。
ただ、昔はよく団地内でうちがどこか分からなくなるという夢を見ました。
子供にとって、団地の敷地内は大きな迷路でもありました。
その体験が「迷宮猫」という短編になっています。
ただこちらは絵的には軍艦島をモデルとしたものですので、いつかこの社宅そのものも描いてみたいなと思います。
漆原友紀