【鐘つき堂 周防柳さんその1】
小学校のころ、六時間目の授業が終わると必ず寄り道していたのが、鐘つき堂です。正しくは岩国学校教育資料館というのだそうです。明治三年に岩国藩主の吉川経健公が藩の青少年を教育するためにつくられたのだとか。
私の時代はいまのように展示物も多くはなく、藤岡市助さんのコーナーもなくて、脱穀機や蓑笠なんぞの民具が中心だったように思います。そして、二階に木製の学習机と椅子がずらっと並んだ教室が再現されていました。あの小ぶりな、小さな天板をバタンと撥ねあげられるようになっている、昔の勉強机ですよ。そこにお友達と並んで座って、国定教科書のカタカナを読みあげながら、「ハイ先生」「ハイ○○ちゃん」なんて言いながら授業ごっこをするのが無性に好きでした。
建物のてっぺんにチョコンとそびえている青銅屋根の小堂は立ち入り禁止ですが、私の記憶では一度だけ上がってみたことがある気がするのです。たぶん当時から禁止されていたはずなので、柵を越えて勝手に入り込んだんでしょうか。ムッとこもった熱気と、鎧戸の隙間から入り込む縞々の光線の感じを、いまも夢のように思い出します。
あの小さな窓から下方を覗いて、目が合った人と恋に落ちる――というのはウソですが、何年かあとの高校生のとき、あの窓から見下ろす校庭の端っこのところで、同級生の男の子に告白されたことがありました。遠い昔のおはなしです。
鐘つき堂。岩国小学校の校庭の端っこにあります
鐘つき堂の内部。昔の教場の雰囲気です
鐘つき堂の内部。おもしろい民具の展示がいろいろと