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【くすのき 片塰満則さんその2】

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年4月1日更新
小学生時代の夏休み、毎日のように岩国小学校のプールに通っていました。
時間をもてあましていた私が自力で行ける場所といえば、自宅から小学校までの範囲だけだったのです。
それでも高学年になると自転車に乗るようになったことで、少しずつ行動範囲が広がっていきました。この川下地区の”くすのき”は、夏休みを学校のプールで過ごすことに飽きたころ、近所の同級生の提案で、門前川の分岐点にある”いせき”に泳ぎに来たことで、知りました。
クスノキの巨木
錦川の向こう岸なので、いったん川沿いの道を愛宕橋に向かい、川を渡った後また同じくらいの距離を川沿いに下るため、ずいぶんと離れた場所に思えました。
当時の”いせき”は遊泳ができたのですが、そもそも泳ぎが得意ではないわたしは、”いせき”をわたった先にあるくすのきの巨木に興味を持ちました。これまで見てきたどんな木よりも大きい、それこそ小学校の”えのき”よりも太い幹や、複雑に曲がり絡み合うような枝ぶりに、心惹かれました。
クスノキの枝
スタジオジブリの代表作といっても良い「となりのトトロ」に巨大なクスノキが登場する場面があります。
トトロのすんでいる部屋(?)の上に立っているこの巨大な樹を、初めてスクリーンで観たとき、真っ先に思い出したのが、岩国のクスノキでした。もちろん宮崎監督が岩国の樹をモデルにしたはずもないのですが、私の記憶の中のクスノキとスクリーン上に描かれた樹はぴったりと重なり、トトロのいる世界は本当にあるかも知れない、と当時の私は素直に信じることができました。
宮崎監督の絵作りは、こうした多くの観客の記憶に共通する風景を、さらに理想化して描いている、ということを、後にジブリで働くようになり、知りました。
クスノキの巨木
今回30年ぶりにクスノキと再会しレンズを向けてみると、枝のあちこちに大きな鳥がとまっていることに気づきました。同行してくださった職員の方から”サギ”が巣を作っていることを伺いました。
飛ぶサギ
枝にとまるサギ
サギは水辺で良く見る鳥ですから、トトロとは違う、まさに水辺である川下ならではの風景の中にあるこの樹を、改めて美しいと感じました。
枝にとまるサギ