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スエヒロラーメン 山口瑠美さんその3

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年4月1日更新
岩国市の名物はとよく聞かれます。
日本酒利き酒師として真っ先にお話をするのは「5蔵のお酒」。
続いて「岩国寿司」や「9つの穴のレンコン」、それから瀬戸内海の海の幸は必ずお話しします。
ですが、そこにもう一つ加えたいのが「寿栄広のラーメン」。
岩国市の皆さんなら知らない方はおられませんね。
寿栄広ラーメン外観写真
駅前にあるこちらの「寿栄広食堂」。
看板の通り「中華そば屋」さんです。
周囲はマンションが建ったり当時と変わっていますが、この一角は昔と変わらず懐かしさがこみ上げる佇まいです。

お店に入り注文をすると、いつもおばちゃんがマイクに向かって「ラーメン一丁~油濃くね~」と言ってくれる。
その声のトーンも明るさも、全部好きです。
東京は全国からさまざまなラーメンが集まり、いつでも(並べば)熊本ラーメンだって和歌山ラーメンだって食べられます。
「ここの店のこれは最高だ!」と言われて行ってみても、「う・・・うん・・そうね」としか言えない。
学生時代は、よくあちこち行ってみたものですが、何か満足しない・・・。
そこで気付いたのです。
「あ!寿栄広が食べたいのだ!!」
はっとしました。

ある時久しぶりに岩国に帰り、お店のドアを開けた時の感激たるや!
決してご機嫌に迎えてくれるわけでなく、淡々とラーメンをすする人の視線を一瞬感じ、いつも通り注文する。
高校時代、学校帰りの塾へ行く前はアンデルセンで「ミルクフランス」を買うか「スエヒロ」でラーメンを食べるか・・・これ私の楽しみでした。
店内の雰囲気は昔と変わらず、大げさに言えば「ただいま~」って気分です。
誰もそんな迎え方してくれませんけど。

お味は、あまりラーメン通でない私が説明するのもどうかと思いますが、コクがあり醤油・塩・とんこつ・どの要素もあるようで、かといってどれと言ってしまうと外部から来る人の期待を恐らく裏切る。
とかく、岩国の味。
私はこれを「ソウルフード」と人様にお話しします。
これを食べるときは、誰とも話したくなくなります。
懐かしさとおいしさを一人ゆっくり味わっていたい・・・そんな気分になるのです。
中華そば
ちなみに私のマネージャーさんは、岩国に行くたびに必ずここのラーメンを召し上がります。
私がいなくても一人で必ず行くようです。
「ほら・・はまった・・・」と、ニタニタする私がおります。

さて、都会に出たものにとって「変わらぬ物」があることは、景観であれグルメであれありがたいものです。
もしも、ここのラーメンがお取り寄せできたところで、都内の自宅で食べても感動は半分なんだろうなぁと思います。
あの場所で、あのおばちゃんの声とプラスチックの食券を手にして待つあの時間も、全部含めておいしさの一つなのでしょうね・・・。

世界一おいしいカレーライスが「母の味」ならば、私にとって世界一おいしいラーメンは「寿栄広食堂のラーメン」です。
中華そばを前に笑顔の山口さん