鵜飼 中馬浩さんその4
岩国生まれの私が岩国の鵜飼を初体験したのはつい最近、生まれて53年も後のこと。
なんとなく、鵜飼というものが岩国に存在していることは知ってはいたが、少し縁遠いものだと思っていた。
この夏、暑い日差しが夕闇に迫る頃、錦帯橋近くの河原に降りて、観光船の出発を待つ。
まだ暑いがほんのりと川面の涼しさが風とともにゆれる。
岩国には、錦帯橋以外に大きな観光の目玉が少ない。
鵜飼も市内の人たちがあまり体験していないのだから、なかなか大きな話題にならない。
しかし乗ってみるとゆっくりとした時間、それなりに優雅な気分になる。
大人になってやっとゆったりと時間を過ごす余裕が出てきたのかなと感じる。
船で川に漕ぎ出すと、ゆっくりとした風が船底に注ぐ。
川面を一周し、十分に暗くなった頃、遠くから鵜飼船が近くに寄ってくる。
あとは、光とシルエットの世界、人それぞれに思いがある時間を過ごすだけだ。
岩国で時間があれば、ゆったりとした時間を過ごすのもおすすめだ。