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平成25年度 施政方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年4月1日更新

はじめに

私が、市長2期目のスタートを切り、早くも1年が経過いたしました。御承知のように、岩国市民の長年の悲願でありました「岩国錦帯橋空港」が昨年12月13日、ついに開港いたしました。
今回の再開に至るまでには、4度におよぶ「岩国・ハワイ チャーターフライト」の実施や民間空港再開を要望する約7万5千人に上る署名活動、等々、議員各位をはじめ、市民の皆様方や、多くの関係機関、関係者の方々の長年にわたる御努力と御協力の賜物と、この場をお借りいたしまして、深く感謝申し上げるところでございます。
岩国錦帯橋空港の開港は、岩国と首都圏とを直接結ぶ架け橋として、多くの夢や希望を運ぶものでございます。
私といたしましても、大きな夢が「かたち」となり、皆様方とともに喜びを分かち合いたいと思っております。
そして、開港はゴールではなくスタートです。地域産業の活性化をはじめ観光振興などに大きく寄与するようしっかり取り組んでまいります。
今後とも、岩国を「夢と希望と活力に満ちあふれるまち」に再生したいという強い決意のもと、市民の皆様方の、さまざまな御意見やお考えをしっかりと受け止め、一定の結論を見い出しながら、心を一つにし、夢を持って、岩国を発展させてまいります。

 

 

行財政運営方針

まず、行財政運営方針について申し上げます。
先ほど、岩国を「夢と希望と活力に満ちあふれるまち」に再生したいと申し上げましたが、そのためには、財源確保に向けた行財政改革に積極的に取り組んでいかなければなりません。
これまでも、定員管理の適正化による職員数の削減、財政健全化計画に基づく地方債残高の縮減、赤字特別会計の早期健全化など、将来負担の軽減に努め、財政基盤の強化を図ってまいりました。
また、現在の財政健全化計画が平成24年度までの計画期間となっていることから、新たに財政計画を策定いたしますが、平成28年度からは、普通交付税等に係る合併支援措置の段階的縮減が始まり、一本算定となる平成33年度には、平成24年度と比べて約49億円の減収となると試算されており、将来的には大幅な財源不足が見込まれます。
こうしたことから、将来にわたって、持続可能な財政運営を行っていくためには、引き続き、定員管理の適正化、地方債発行の抑制など、将来負担の軽減に努めるとともに「歳入の確保」「歳出の合理化」「効率的な事務事業の推進」など、さらなる行財政改革に取り組み、財政基盤の強化を図っていく必要があると考えております。
限られた財源を最大限有効に活用するためには、これまで以上に「選択と集中」が必要であり、真に必要な事業の見極めなど厳しい決断を迫られる状況も出てこようかと考えております。
こうした状況を乗り切り、質の高い安定した行政サービスを継続していくため、強い信念と、斬新な発想を持って、行財政運営に当たってまいりたいと考えております。

 

 

米軍再編

次に、「米軍再編問題」について申し上げます。
去る1月25日、左藤防衛大臣政務官から、空母艦載機の厚木基地から岩国飛行場への移駐時期の遅延について説明がございました。
政務官の説明内容は「2006年(平成18年)のロードマップにおいて、空母艦載機の移駐が2014年(平成26年)までに完了するとされていたが、これが3年遅れ、2017年(平成29年)頃になる見込みである」との主旨でございました。
私は「岩国市は米軍再編問題に対しては『これ以上の負担増は認められない』『普天間基地移設の見通しが立たないうちに、厚木基地の空母艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められない』という従来からの基本スタンスのもとで対応している」と政務官に申し上げたところであります。
また、空母艦載機の移駐の遅延に関わらず、愛宕山の運動施設のいち早い完成と従来から要望している海上自衛隊の残留、岩国飛行場をFCLP施設の予備飛行場として指定しないことなどについても要望したところであり、これらにつきましては、早期に具体的な成果が出されるよう、引き続き、国と協議を行ってまいります。
米軍再編に対しましては、今後も県・市共通の基本スタンスを堅持し、日米協議の動向や政府の対応を見極めながら、安心・安全に関する国との協議を通じて、市民の皆様の不安を一つ一つ払拭していくことに、最大限の努力を傾注してまいります。
基地の運用に当たっては、住民が安心して安全に暮らせる環境が確保される、いわゆる安心・安全対策や住民福祉の向上および地域の発展に資する地域振興策の確実な実施が必要です。
私といたしましては、これまでと同じように、現実的な対応のもと、特に市民の皆様が不安を抱えている騒音問題などについて国と協議を重ね、一定の対策(成果)を引き出すことができたと考えておりますが、まだまだ十分ではなく、市民の皆様の不安が解消しきれているとは言えない状況であります。
こうしたことから、引き続き、安心・安全対策、地域振興策について国と協議し、新たな対策や新しい制度の構築の実現に努めてまいります。その上で、地域の負担と協力に見合うだけの財政的支援を得られるよう国と交渉し、本市の長期的な発展が築かれるよう、あらゆる努力をしてまいりますのでよろしくお願いいたします。

 

 

夢をかたちにしていくための5つの基本方針

以上、行財政運営方針と本市の抱える重要課題として、米軍再編に対する基本的な考え方を申し上げましたが、私は、市長として「新しいまちづくりの夢とビジョンを提示し、それに向かって行動していく」という信念を持って、市政運営を行ってまいります。
それでは、私の「夢をかたちにしていく」ための5つの基本方針ごとに、その主なものを申し上げます。

 

1 安心・安全、災害に強いまちづくり

一つ目は「安心・安全、災害に強いまちづくり」です。
【岩国医療センター開院】
昨年は、ノーベル生理学・医学賞を山中伸弥教授が受賞されました。受賞理由は「成熟した細胞を、多能性を持つように初期化できることを発見したこと」だそうです。「多能性」とは体中のほぼ全ての種類の細胞になれる能力のこと、「初期化」とはまるで時間をさかのぼるように細胞を未成熟な状態に戻すことと聞いております。今後の再生医療への応用など、世界中の注目が集まっております。
岩国市では、独立行政法人国立病院機構岩国医療センターが、いよいよ来月24日、新しく愛宕町に開院し、26日から外来の診察が始まることになっており、最新の医療機器を導入し、屋上ヘリポートや緩和ケア病棟を設置するなど、地域の医療機関と連携した高度急性期医療が提供され、なお一層の地域医療の充実につながるものとして大いに期待しております。
【防災センター】
愛宕山まちづくり区域においては、本市の「医療・防災交流拠点」の中核施設となる防災センターの整備を進めており、大規模災害などの不測の事態によるライフラインの被害に対応し得る消防防災機能維持のためのシステムの構築や災害用備蓄など、危機管理機能の強化を図るとともに、高機能消防指令センターの整備による消防救急活動の迅速・的確・効率化や、消防救急無線のデジタル化による通信機能の拡充などを行い、市民の皆様の安心・安全を確保し、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
【防災対策】
近い将来、発生するとされております、東海・東南海・南海地震は、マグニチュード最大9・0と予想されており、災害発生時における災害情報の収集、伝達は最も重要なものとなります。情報の伝達手段として、気象情報や防災情報をいち早く確実に入手できる防災メールの普及に努めていくとともに、防災行政無線を整備してまいります。
また、自治会の集会へ防災に関する出前講座を実施するなど、防災教育に取り組み「自助」「共助」の気持ちを育ててまいります。さらに、消防団や自衛隊、企業などの防災関係機関と連携した防災訓練に自主防災組織も参加していただき地域防災力の向上に努めてまいります。

 

2 子育てと教育を応援するまちづくり

二つ目は「子育てと教育を応援するまちづくり」です。
子どもは、未来を切り拓く大切な私たちの宝です。激動する社会情勢の中にあっても、子どもたちが適切に判断し、柔軟に対応できる力を備え、成長していくためには、子育てと教育の環境づくりが非常に重要なものであると考えております。
特に、子どもたちの笑顔は、子育て中の家庭や地域社会に幸せと喜びをもたらしてくれます。と同時に子どもたちは、さまざまな体験や人との出会いを通じて社会性を養うことができます。
こうした子どもたちの将来に向け、現在、国においては、幼児期の教育と保育の一体化や、地域全体で子育て支援を図る「子ども・子育て支援新制度」の構築を進めております。本市におきましても、新制度の導入に当たり、保護者の方々のニーズ調査を行うなど、岩国市の教育・保育や子育て支援策のグランドデザイン(仮称「岩国市子ども・子育て支援事業計画」)の策定に取り組んでまいります。
さらに、子どもたちが学校で健やかに成長していけるよう、施設整備面においては、学校施設の耐震化、空調設備の整備、通学路の安全対策など、安心、安全な教育基盤づくりに努めてまいります。
また、読書活動の活性化や特別支援教育の支援など、豊かな心を育む教育を推進してまいります。
そして「子育て家庭が夢を持って育てる幸せを実感できるまち」「子どもたちが希望を持っていきいきと育つまち」を目指し、「子育てをするなら岩国市」と言われるような、魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。

 

3 支え合い、地域で安心して暮らせるまちづくり

三つ目は「支え合い、地域で安心して暮らせるまちづくり」です。
【地域づくり支援】
本市の高齢者人口はますます増加する中で、高齢化率は、4年後の平成29年には33パーセントに達し、市内の3人に1人が高齢者となる見込みになっており、高齢化、過疎化が大きな課題となっております。
平成22年度からスタートしております「地域づくり支援事業」により、地域住民が支え合いながら、地域のさまざまな課題、問題を各地域で見い出し、検討し、各地域で解決していく取り組みを進めるとともに、地域の意向が反映された事業を推進することで、住民主体の地域づくりに向けた機運を醸成し、地域の絆を深め、温かい心の通い合った地域づくりを進めてまいります。
【中山間地域支援】
また、集落支援事業や緑のふるさと協力隊派遣事業などにより、中山間地域の将来に向けた取り組みを進めていけるような住民主体の体制づくりや地域のさまざまな取り組みを支援し、地域と協働して地域の諸問題の解決に努めてまいります。
合併後、山口県内で2番目という広大な面積を有する本市では、各地域において、多種多様な問題を抱えておりますが、市民の皆様の生の声をしっかりと受け止め、地域の方々と一緒になって、課題を一つ一つ解決し、安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。

 

4 地域の歴史・文化や伝統をいかした地域振興のまちづくり

四つ目は「地域の歴史・文化や伝統をいかした地域振興のまちづくり」です。
【文化芸術の振興】
心豊かで潤いのある市民生活や個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するには、地域で伝承されてきた郷土芸能や無形民俗文化財、伝承技術などの文化財を守り、発展・継承させていくことが大変重要と考えております。
それぞれの地域で育まれてきた多種多様な文化の振興と、地域文化を担う人材・伝承者を育成し、また次世代を担う若年層を対象とした文化芸術活動を支援していく取り組みを広げ、文化芸術の振興の向上を図ってまいります。
【地域産業の活性化】
次に、豊かな自然環境によって営まれてきた農林水産業の振興は、地域の活力づくりに欠かせません。
そのためにも、生産基盤の整備、市産市消の推進、有害鳥獣対策などを推し進めるとともに、地域づくりの原動力となる担い手の確保・育成、地元農林水産物の商品力強化、郷土料理の伝承など、岩国の魅力を広く打ち出すことで、地域産業の活性化に取り組んでまいります。
また、本市には、多種多様な特産品のほか、豊かな自然、歴史、文化、伝統や錦帯橋をはじめとする誇るべき観光資源、イベントなどのブランド化できる地域資源が数多くあります。
本市のイメージアップを図り、観光客を含む交流人口の増加や地域経済の活性化につなげていくために、これらの地域資源を有効に活用し、岩国の魅力を効果的に発信するシティセールスに取り組んでまいります。
【企業立地】
次に、企業立地は、地域活性化のカギを握る「雇用」と「所得」を生み出す原動力と考え、岩国錦帯橋空港をはじめとする陸・海・空の交通アクセスなどのインフラの整備状況や豊かで穏やかな自然に恵まれた立地条件などを企業誘致のセールスポイントとして、積極的に市の投資環境状況を発信し、私自らが、精力的にトップセールスを行ってまいります。
【地域振興】
さらには、魅力ある地域資源を活用して、交流人口の増加を図り、事業に関わる地域住民が、地域を見つめ直し、地域に対する誇りと自信を持ち、地域の元気づくりが促進されるよう、積極的に体験型交流事業への取り組みを進め、地域振興を図るとともに、将来的には全市的な取り組みとなるような体制づくりを進めてまいります。

 

5 未来に希望と魅力を感じるまちづくり

五つ目は「未来に希望と魅力を感じるまちづくり」です。
【岩国錦帯橋空港ハワイチャーターフライト】
平成25年度には、空港開港を記念して、岩国錦帯橋空港からハワイへのチャーターフライトを積極的に支援し、空港近隣地域の方の旅行意欲を高め、岩国錦帯橋空港の利用促進にも弾みをつけていきたいと考えております。
【愛宕山運動施設】
また、愛宕山地域の4分の3の区域において、国が整備する運動施設エリアの各施設については、岩国市民の要望を踏まえて、高校野球の公式試合ができる規模の野球場などを整備することとしており、現在、国において、その実現に向けて確実に進められているところでございます。
今後も、市民の皆様にとって各施設ができるだけ利用しやすいものとなるよう、防衛省や米軍との調整を進め、多様な人と人とが交流できるまちづくりを実現できるよう取り組んでまいります。
【岩国駅周辺整備】
次に、岩国駅周辺については、岩国駅舎の老朽化が著しく、耐震化を含めた施設の更新が喫緊の課題となっていることや、エレベーター設置などの早期のバリアフリー化が求められていることから、本市では、駅舎のバリアフリー化、東西自由通路の設置、東西駅前広場の整備からなる岩国駅周辺整備事業を主要事業に位置付け、協議を進めており、今後、岩国駅は、多くの人々を気持ちよくお迎えすることができる交通交流の結節点として、大きく生まれ変わっていきます。
【幹線道路ネットワーク】
さらに、広域的な交流の促進や地域間の連携強化につながり、災害時のダブルネットワークの確立に寄与する岩国大竹道路の早期完成、岩国南バイパスの南伸、岩国・玖西連絡幹線道路など、幹線道路の整備を国や県に対し強く要望し、着実に推し進めてまいります。
そして、拠点と拠点を線で結び、線を面へと広げていき、都市基盤の整備が進む姿を、市民の皆様に、目に見える形でお示しし、豊かな自然と都市が共生した活力と交流にあふれ、未来に希望と魅力を感じるまちづくりに取り組んでまいります。

 

 

むすびに

最後に、私は、ここ岩国で生まれ、岩国の豊かな自然の中で育ち、郷土愛を抱きながら生きてまいりました。今でも豊かな自然に触れるといつも優しい気持ちになります。皆様もそうではないでしょうか。
私は、行政を遂行していく上で、今何を為すべきか深く考え、判断し、決断していく「強さ」を持つと同時に、弱い立場の人たちを守っていくという「優しさ」も必要であると考えております。
そして、志を高く持ちながらも、現実をしっかりと直視し、現実的、具体的な成果を出すことが責任ある政治であると考えております。そのためにも、夢を夢のまま終わらせることなく、課題を課題のままにしておくことのないように、私の造語ではありますが、夢を実現させるという意味での「夢現」という言葉のとおり、新しいまちづくりの夢の実現に向けて、職員一丸となって取り組んでまいります。
議員各位をはじめ、市民の皆様の御支援と御協力をお願い申し上げまして、私の施政方針といたします。