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平成26年度 施政方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年4月1日更新

はじめに

平成26年度の当初予算をはじめ、諸議案の審議に先立ちまして、施政方針を申し上げます。
一昨年、市民の皆様から再度の信託をいただき、早くも折り返しの2年が経過いたしました。この間、議員各位をはじめ、市民の皆様、関係者の皆様からいただきました御支援・御協力に対しまして、改めて感謝申し上げます。
昨年を振り返りますと、日本の象徴であります富士山が世界文化遺産に正式登録され、2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定するなど、私たち多くの国民が夢や希望を抱いた1年でございました。
本市におきましても、昨年は、山口県立岩国商業高等学校硬式野球部が春夏連続して甲子園に出場し、この春の選抜には、山口県立岩国高等学校野球部の14年ぶり7回目となる出場が決まっており、地元の高校球児たちが3季続けて晴れの舞台でプレーできることを、大変喜ばしく、誇りに思っているところでございます。
私は、市長就任以来、「夢をかたちに」をモットーに市政を運営してまいりましたが、皆様の御協力を得ながら、少しずつ「かたち」になりつつあるのではないかと感じているところでございます。しかしながら、山積する課題もあり、まだ夢の実現の途中にあると思っておりますので、今後もスピード感を持って、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 

 

米軍再編

それでは、本市の重要課題について申し上げます。
まず、「米軍再編」についてでございますが、昨年10月30日、岸外務副大臣及び木原防衛大臣政務官から同月3日に開催された日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表で触れられた内容について説明がございました。
その主なものは、御承知のとおり、私たちが強く要望してまいりました海上自衛隊の岩国への残留が確認されたこと、そして、KC-130空中給油機の本年6月から9月までの間の岩国飛行場への移駐についてでございました。
KC-130空中給油機の移駐につきましては、昨年12月市議会定例会において、「これを認めることとしたい」との考えを表明させていただいたところであります。
また、2プラス2協議で、厚木基地からの空母艦載機の移駐が3年程度遅れ、2017年頃までに完了することを確認したとのことでございました。
市といたしましては、空母艦載機の移駐の遅延にかかわらず、愛宕山の運動施設のいち早い完成を要望しており、また、岩国飛行場をFCLP施設の予備飛行場として指定しないことなどについても従来要請しているところであり、これらにつきましては、早期に具体的な成果が出されるよう、引き続き、国と協議を行ってまいります。
基地の運用に当たっては、住民が安心して安全に暮らせる環境が確保される、いわゆる安心・安全対策や住民福祉の向上、地域の発展に資する地域振興策の確実な実施が必要です。
私といたしましては、米軍再編に対しては、国の安全保障政策と市民の安心・安全及び平穏な生活環境を確保するという観点から、現実的な対応を重ねてまいりました。具体的には、治安対策や騒音対策の強化、環境対策の徹底、川下地区の都市基盤の整備、岩国駅関連整備事業、愛宕山地域開発に関連する公共施設の整備、産業振興等に関連する施策の実施など、一定の成果を引き出すことができたと考えております。
今後も、安心・安全対策及び地域振興策に関する国との協議を通じて、市民の不安を一つ一つ払拭しながら、多くの市民が納得のできるような結果を出すことに最大限の努力を傾注し、その上で、地域の負担と協力に見合うだけの財政的支援を得られるよう国と交渉し、本市の長期的な発展が築かれるよう、より一層の努力をしてまいります。

 

都市基盤整備

次に、都市基盤整備について申し上げます。
快適で暮らしやすい生活を送るためには、道路や上下水道などの良好な都市基盤や利便性の高い公共交通網などの整備が大変重要でございます。
幹線道路や生活関連道路の整備促進はもとより、引き続き公共下水道事業の認可区域内の面整備や、安全で良質な水道水が供給できるよう、施設の耐震化、給水区域の拡大などに計画的に取り組んでまいります。
また、岩国駅周辺、愛宕山地域などの市街地整備や、交通環境の改善、利便性の向上に努めてまいります。

 

行政経営改革

次に、「行政経営改革」について申し上げます。
現在、昨年3月に策定しました「財政計画」に基づき、「将来負担の軽減」を財政運営の基本方針として、「職員数の削減」、「投資政策的経費の抑制」、「市債残高の縮減」に取り組み、財政基盤の強化に努めております。
しかしながら、平成28年度から、普通交付税等の合併支援措置の段階的縮減が始まるため、中長期的には大幅な財源不足が懸念されます。
その一方で、現在、国において、普通交付税の算定方法の見直しが検討されており、段階的縮減の激変緩和策が期待されますが、詳細については不明であり、将来的な財源不足に対する不安は払拭しきれないのが現状です。
こうした中、複雑多様化する行政課題に的確に対応するとともに、質の高い行政サービスを提供するためには、従来のコスト削減を中心とした行政運営から、人材、資産、財源、情報といった限られた経営資源を有効に活用する行政経営への転換が必要であると考えております。
そのため、現在、行政経営改革の指針となる「行政経営改革プラン」の策定を行っておりますが、このプランにおいて、「市民の満足度の向上と持続可能な行政経営の実現」を基本理念として掲げるとともに、「成果を重視した効率的な組織と制度への転換」などを実現するための計画を定めて、改革に取り組んでまいりたいと考えております。
こうした改革を推進していくためには、「選択と集中」による重点化が必要であり、厳しい決断を迫られることも予想されますが、岩国市の未来のために、覚悟を持って、行政経営改革に当たってまいります。

 

夢をかたちにしていくための5つの基本方針

以上、本市の抱える重要課題に対する基本的な考え方を申し上げましたが、私は、市長として、「新しいまちづくりの夢とビジョンを提示し、それに向かって行動していく」という信念を持って、市政運営を行ってまいります。
それでは、私の「夢をかたちにしていく」ための5つの基本方針ごとに、その主なものを申し上げます。

 

1 安心・安全、災害に強いまちづくり

一つ目は、「安心・安全、災害に強いまちづくり」です。
【医療・防災交流拠点】
愛宕山まちづくり区域においては、本市の「医療・防災交流拠点」の中核施設となる「いわくに消防防災センター」について、平成27年度中の完成を目指して事業を鋭意進め、消防救急活動の迅速、的確、効率化や通信機能の拡充等を図ってまいります。
また、今後整備を予定している多目的広場と連携し、大規模災害などの不測の事態に対応し得るよう危機管理機能の強化を図ることにより、市民の皆様の安心・安全を確保し、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
【安心・安全対策】
次に、児童・生徒の安全確保のため、市内の全小中学校を対象に通学路の危険箇所の総点検を実施し、その結果を基に、通学路の交通安全対策に取り組んでいるところであり、交差点改良や歩道の設置、橋りょうの長寿命化、耐震化などの老朽化対策を計画的に進め、市民の皆様が安心・安全に利用できる道路の整備に努めてまいります。
また、以前から、大雨のたびに浸水被害を受けている地区の被害の軽減のため、地下調整池や、ポンプ場を整備してまいります。
【防災対策】
さらに、災害発生時における災害情報の収集、伝達は最も重要なため、市民に迅速に情報伝達ができるよう、屋外拡声子局・戸別受信機の整備や防災メールの普及を進めてまいります。

 

2 子育てと教育を応援するまちづくり

二つ目は、「子育てと教育を応援するまちづくり」です。
【子育てするなら岩国で】
現在、国においては、社会保障・税の一体改革の中、幼児期における質の高い教育・保育の提供や地域全体で子育て支援を図る「子ども・子育て支援新制度」の構築を進めております。本市におきましても、保護者へのニーズ調査結果等を基に、岩国市の教育・保育や子育て支援策の基本計画となる「(仮称)岩国市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、妊娠から出産そして育児と、切れ目ない子育て支援の充実を図り、全ての子供の健やかな成長を目指します。
また、重篤な感染症から子供を守るため、予防接種の助成など、予防事業に力を入れることで、より一層の充実した子育て支援を行ってまいります。
【教育施設の充実】
さらに、子供たちが安全で快適な学校で学習し、健やかに成長していけるよう、学校施設の耐震化の推進、老朽化した学校プールの改築・改修、空調設備の整備促進など、安心、安全、快適な教育基盤・環境づくりに努めてまいります。

 

3 支え合い、地域で安心して暮らせるまちづくり

三つ目は、「支え合い、地域で安心して暮らせるまちづくり」です。
【中山間地域振興】
岩国市中山間地域振興施策基本条例に基づき、市民が安心、安全に住み続けることができる地域社会の実現に向けて、総合的かつ計画的な関係施策を進めてまいります。
そうした中で、地域力の維持・強化を目指す、地域おこし協力隊の派遣や、UJIターン促進のため、空き家の修繕に対する助成制度を新設するなど、市民協働による地域づくりの担い手確保に努めてまいります。
また、地域の高齢者等の生活の足を確保するため、デマンド型バスを玖北地域を中心に導入しておりますが、予約方式について、当日予約も可能とするように改善してまいります。
【市民活動支援】
さらに、「地域ささえ愛交付金」や「みんなの夢をはぐくむ交付金」により、自治会等のコミュニティ組織や市民活動団体等の育成を図り、市民活動の活発な取組を支援してまいりますとともに、地域づくりの拠点である供用会館等のリニューアルや空調設備の計画的な整備を進め、市民と行政の協働による元気あるまちづくりを推進します。
【ごみ焼却施設】
次に、ごみ焼却施設につきましては、第一工場と周陽環境整備センターのいずれも、供用開始後20年程度経過しており、施設の更新が喫緊の課題となっております。ごみ焼却施設は、市民の皆様の快適な生活環境の保全のために必要不可欠でありますので、新たな施設を日の出地区に建設することとして、事業を進めてまいります。

 

4 地域の歴史・文化や伝統をいかした地域振興のまちづくり

四つ目は、「地域の歴史・文化や伝統をいかした地域振興のまちづくり」です。
【地域産業の活性化】
豊かな自然環境によって営まれてきた農林水産業の振興は、地域の活力づくりに欠かせません。
生産基盤の強化、新規就業者の確保と地域の中心的な経営体の育成、需要に応じた農業施設の整備、市産市消の推進、地域ブランド化に向けた農林水産物の商品力の強化、有害鳥獣対策、優良な地域木材の利用促進などを図り、地域産業の活性化に取り組んでまいります。
【企業立地】
次に、地域活性化の鍵を握る「雇用」と「所得」を生み出す原動力となる企業立地につきましては、近年、着実に新たな投資をいただいておりますが、引き続き、既存産業はもとより、新産業の創出に向けた投資誘致を進めてまいります。
また、岩国錦帯橋空港をはじめとする、陸・海・空の交通アクセスなどのインフラの整備状況や豊かで穏やかな自然に恵まれた立地条件などを、企業誘致のセールスポイントとして、積極的に市の投資環境状況を発信し、私自らが、精力的にトップセールスを行ってまいります。
【文化芸術の振興】
本市には、豊かな自然と長い歴史の中で培われてきた貴重な文化、伝統が数多く現在に引き継がれておりますが、これらの貴重な有形・無形の文化財を後世に引き継いでいくことが大変重要であるため、積極的な保存・伝承に努めてまいります。
城下町の街なみが残る岩国地区について、「歴史的街なみの保存と活用」と「生活基盤整備を実施することによる暮らしやすさの向上」を同時に行うことで、「住んでよし、訪れてよし」を目指した総合的なまちづくりを進めてまいります。
また、名勝「錦帯橋」や天然記念物「岩国のシロヘビ」といった国内はもとより世界に誇れる文化財があり、その保護・保存には、最大の努力が払われておりますが、「岩国のシロヘビ」の横山観覧施設は、設置後28年が経過しており、外観や景観にも配慮した総合的な学習ができる資料館として整備してまいります。
歴史や伝統に彩られる岩国の地で、新しい時代に対応した文化芸術を創造し、発展させるため、文化芸術創造都市宣言を行い、幅広い世代の文化芸術への関心を深めるとともに、将来を担う人材を育成する取組を広げてまいります。

 

5 未来に希望と魅力を感じるまちづくり

五つ目は、「未来に希望と魅力を感じるまちづくり」です。
【観光振興】
平成24年12月に開港した「岩国錦帯橋空港」は、開港以来、堅調な搭乗率を保っており、本年3月からは機材の大型化が図られることから、利用者の利便性を更に高め、西中国地域の広域観光ルートの拠点としての要件を備えることとなりました。
今後は、山口県をはじめ、広島県、島根県に所在する空港との協調・連携を強化するとともに、道路・鉄道・航路など様々な交通媒体をいかして、観光資源の魅力を引き出し、多種多様な観光のニーズに応え、観光振興を図ってまいります。
平成26年度は、それらを視野に岩国市の観光振興ビジョンを策定し、観光の基本方針を打ち出し、観光施策に取り組んでまいります。
また、本市を代表する観光資源である「錦帯橋の鵜飼」は、長い歴史を持ち、錦帯橋と鵜飼が織り成す情景は、観光で本市を訪れる皆様をはじめ、多くの市民を魅了し、高い評価を受けてまいりました。
郷土の優れた伝統文化であると同時に、貴重な観光資源でもある「錦帯橋の鵜飼」を保存・継承し、清流錦川に架かる錦帯橋とその周辺の古き良き城下町の風情を大切に、観光振興に取り組んでまいります。
【岩国駅周辺整備・新岩国駅整備】
岩国駅周辺については、駅舎のバリアフリー化などの整備を進めているところでございますが、本年3月末には、西日本旅客鉄道株式会社と「自由通路新設等工事の施行に関する協定書」、「橋上駅舎化工事の施行に関する協定書」の締結を予定しており、平成29年度内の東西自由通路・橋上駅舎の完成を目指してまいります。
また、新岩国駅については、昨年3月から、新たに一部の「ひかり」が停車することとなり、その重要性は更に高まっていますが、従来から市民要望の高かったバリアフリー化設備の整備について、西日本旅客鉄道株式会社が予定しているエレベーターの設置、スロープ、多機能トイレの改修等、早期実現に向け、国や県とともに支援を行ってまいります。
【愛宕山運動施設】
次に、愛宕山地域の4分の3の区域において、国が整備する運動施設エリアの各施設については、市民の皆様の要望を踏まえ、高校野球の公式試合ができる規模の野球場などを整備することとしており、現在、国においては、その実現に向けて造成工事の発注手続が進められるなど、確実に事業実施されているところでございます。
今後も、市民の皆様にとって各施設ができるだけ利用しやすいものとなるよう、防衛省や在日米軍との調整を進め、多様な人と人とが交流できるまちづくりに取り組んでまいります。
【幹線道路ネットワーク】
岩国大竹道路、岩国南バイパスの南伸、岩国西バイパスなどの幹線道路の整備は、岩国錦帯橋空港へのアクセスをはじめ、産業、経済の発展に不可欠であり、広域的な交流の促進や地域間の連携強化につながるとともに、災害時には、市民の生命や生活を守る「命の道」となるため、国や県に対し早期整備を強く要望し、着実に推し進めてまいります。
以上、五つの基本方針ごとに主な取組を申し上げましたが、さらに、庁内のことではございますが、平成26年度に総合支所の再編や機構改革を行うこととしております。
その他
【市民サービスの向上】
平成18年3月の市町村合併に伴い、合併前の町村の区域を所管する総合支所において、本庁で処理する事務を除く住民サービスを提供してまいりましたが、より効率的な行政運営と簡素な組織体制の構築を目指すため、本年4月からは、本郷総合支所を美和総合支所に、美川総合支所を錦総合支所にそれぞれ統合し、本郷総合支所及び美川総合支所については、支所として位置付けることとしております。
また、従来、教育委員会で所管しておりました、スポーツ振興、芸術文化の業務について、地域の実情や住民のニーズに応じた「地域づくり」という観点から他の地域振興等の関連行政と併せて実施するため、市長部局において一元的に所掌することとしております。
これらをはじめとした、様々な機構改革に取り組み、住民ニーズに的確に対応することで、更なる住民サービスの向上を目指してまいります。

 

むすびに

最後になりますが、昨年、市内の高校生、早稲田大学の学生、若手の市職員プロジェクトチームから、岩国の観光開発、地域振興に対する斬新な提案、プランを受けております。今後とも、一人でも多くの方々が「ふるさと岩国」に愛着を持って、しっかり声を出していただくことで、新しいまちづくりの1ページが開かれていくものと考えております。
私は、「新しい岩国の時代をこれからも築く」という強い信念を持って、「いわくに新時代」へと押し上げてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
議員各位をはじめ、市民の皆様の御支援と御協力をお願い申し上げまして、私の施政方針といたします。