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平成30年度 施政方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年2月22日更新

はじめに

平成30年度の当初予算をはじめ、諸議案の審議に先立ちまして、施政方針について、御説明いたします。
私が、市長3期目のスタートを切り、早くも折り返しの2年が経過いたしました。
この1年を振り返りますと、市長に就任して以来、市政の重要課題であった空母艦載機の岩国飛行場への移駐が本格化していることが大きな変化として挙げられます。
市民の安心・安全を守る立場として、基地が存在する限り続く様々な課題に対し、これからも皆様の声に耳を傾けるとともに、国や米軍にも毅然として向き合っていかなければならないとの思いを強くしております。
一方で、米軍関係者も同じ地域で生活する隣人であり、これまで以上に信頼関係を築き、友好と交流を深めていく意識の醸成も大切であると考えており、日米交流の期待のかかる施設として、愛宕スポーツコンプレックスの野球場エリアがオープンしたところです。
このほかにも、JR岩国駅は約70年ぶりにリニューアルされ、玖西地域には西部学校給食センターが完成し供用が開始されるなど、本市のまちづくりは、この1年で大きく進展してまいりました。
私は、市長就任以来、「夢をかたちに」をモットーにまちづくりの夢とビジョンの実現に向けてまい進してきたところでありますが、これからも皆様が夢と希望を持てる岩国の未来に向け、取り組んでまいります。

米軍再編

米軍再編につきましては、昨年6月、空母艦載機の岩国飛行場への移駐の受入れを表明し、その後、8月にE-2D、また12月にFA-18、EA-18G、C-2の部隊が厚木基地から移駐いたしました。
また、本年5月には、残りのFA-18の部隊が移駐し、これにより空母艦載機の移駐が完了することになります。
こうした状況の中、米軍再編に対しましては、国の外交防衛政策を尊重し、これに協力する一方、市民の安全で平穏な生活を確保する立場から、これまで以上に市議会と歩調を合わせ、国に対して言うべきことは言うという姿勢で対応する必要があります。
具体的には、「基地機能が変更される際には、その影響により、周辺環境が現状より悪化することとなる場合や、十分な安心・安全対策が講じられると認められない場合はこれを容認できない」、「激しい騒音をもたらすNLPについては岩国基地での実施は容認できない」という基本姿勢を今後も堅持し、基地問題に取り組んでいく考えであります。
こうした考えの下、本年5月に完了する移駐とその後の状況を関係自治体とも連携しながらしっかりと把握し、問題があれば、国や米側に必要な対応を求めるなど、適切に対処してまいります。
空母艦載機の移駐により、地元が抱え続けることとなる騒音や事故等への不安、社会基盤の整備等の新たな財政需要への対応は重要な課題であり、今後とも、不安解消を図るための安心・安全対策や地域振興策の実施について全力で取り組んでまいります。

まちづくりの将来像を実現するための6つの基本目標とそれを支える行政経営

総合計画に掲げております、まちづくりの将来像「豊かな自然と歴史に包まれ、笑顔と活力あふれる交流のまち岩国」を実現するための6つの基本目標とそれを支える行政経営について、主な取組を申し上げます。

1子育てといきいきとした暮らしを応援するまち(福祉・健康)

子育て支援の充実

子育て支援につきましては、安心して子供を産み、育てることができるまちとなるよう、取り組んでまいります。
本年4月から、学校給食における児童生徒の食に関する正しい理解と望ましい食習慣を養うとともに、保護者の経済的負担を軽減するため、市立小中学校の給食費無償化を実施してまいります。
子育て世代包括支援センターにつきましては、妊娠から出産、そして子育てにわたり、切れ目のないきめ細かな相談・助言などの支援を充実させ、全ての子供の健やかな成長を目指してまいります。
さらに、子供が安心して医療を受けられるように、インフルエンザ等の予防接種費用の助成制度や中学校を卒業するまでの医療費を無料とする助成制度についても、継続してまいります。

健康づくり

健康づくりにつきましては、市民一人ひとりの“豊かな人生”を目指し、市民の誰もが生涯にわたり、健康で生き生きとした生活を送ることができるよう、「健康づくり計画」や「食育推進計画」などを一体的に策定し、健康づくり等の推進体制の充実を図ってまいります。

高齢者が安心して生活できる環境づくり

高齢者が安心して生活できる環境づくりにつきましては、「岩国市高齢者保健福祉計画」を踏まえ、高齢者保健福祉施策の総合的な推進と介護保険事業の円滑な実施に努めるとともに、医療、介護、介護予防、住まい及び生活支援が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」の深化・推進を図るため、市民組織、関係機関、関係団体と連携・協働し、高齢者が住み慣れた地域で安心して生き生きと暮らすことができる環境づくりに取り組んでまいります。
また、公園等の公共施設内に柔軟性の増進やバランス感覚・筋力の強化などに効果のある健康遊具を整備し、高齢者の健康増進を図ってまいります。

医療体制の堅持

医療体制につきましては、誰もが安心して医療を受けることができるよう、県や医師会等の関係機関と連携を図り、医療提供体制の堅持に努めてまいります。
また、高齢化の進む中山間地域において、中核病院の一つである市立美和病院の移転新築に向けた、新病院の基本設計の策定などを進めてまいります。

2空港を軸とした活力ある産業と観光のまち(産業)

観光交流の促進

観光振興の取組につきましては、「幕末維新やまぐちデスティネーション アフターキャンペーン」として、JRや岩国市観光協会、観光事業者等との連携により、体験型観光の充実を図り、観光誘客に努めてまいります。
明治150年記念事業につきましては、岩国徴古館において、明治維新期における岩国や、岩国ゆかりの人物の果たした役割を広く発信してまいります。
また、平成30年度においてもJR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」の本市への立ち寄り観光が決定しているほか、10月には英国籍の大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」の初寄港も予定されております。
来訪されるお客様には、本市の歴史に触れながら魅力あふれる錦帯橋周辺の観光を楽しんでいただくとともに、岩国ならではの「おもてなし」をもってお迎えするよう、取り組んでまいります。
今後も、市内各地域の観光資源のPRはもとより、近隣市町や各観光協会、岩国観光プロモーション戦略協議会など関係機関との連携を図りながら、広域的な施策を積極的に展開してまいります。

企業誘致の推進

企業立地につきましては、「地域経済の活性化」「雇用機会の拡大」「税収の増加」など、様々な波及効果が期待されています。
本市においては、岩国錦帯橋空港開港を契機に着実に成果が上がっておりますが、引き続き、「企業誘致ターゲットデータ戦略事業」の調査結果を基に、首都圏を中心とした企業誘致を進め、さらに、平成30年度からは、IT・コンテンツ産業の奨励制度を創設し、サテライトオフィス等の誘致も強力に推し進めてまいります。
また、岩国錦帯橋空港を活かした航空関連産業の誘致や、国において整備される防衛装備庁艦艇装備研究所の試験評価施設に関連する企業や産業の誘致も進めてまいります。
優れた地理的条件や交通基盤に加えて、これらも新たなセールスポイントとして情報発信に努め、より多くの企業が本市に進出されるよう、私自らも精力的にトップセールスを行ってまいります。

中心市街地の活性化

中心市街地の活性化につきましては、「岩国市中心市街地活性化基本計画」に掲載した53事業を推進しており、昨年11月には核となる岩国駅周辺整備事業のうち、東西自由通路と橋上駅舎の供用を開始し、東西市街地の交流、連携がより活発となり、にぎわいの創出につながっております。
引き続き、株式会社街づくり岩国を中心に、にぎわいの創出に取り組むとともに、岩国駅周辺における民間事業者による自主的なまちづくりについても、官民それぞれの役割分担を踏まえながら連携し、事業の推進を図ってまいります。

空港の利活用の促進

岩国錦帯橋空港につきましては、開港5年目にして200万人を達成する中、今後におきましても、1日5便に増便された羽田線は堅調な利用水準が保てるように、また、3年目を迎える沖縄線は定着化が図られるように、岩国錦帯橋空港の利便性の良さを地元周辺地域はもとより、首都圏や沖縄県へも積極的にPRしてまいります。
また、更なる利便性向上のため、県や関係機関と連携し、空港機能の充実や周辺環境の整備に努めてまいります。

岩国港臨港道路の整備

岩国港臨港道路につきましては、国の直轄事業として全延長2.9キロメートルの整備計画で、平成32年度の事業完了を目指して実施されております。
このうち、装束地区から岩国港ポートビル前までの区間は平成28年度から供用が開始されておりますが、本道路の早期の全線完成に向け、引き続き、国及び県に強く要望してまいります。

シティプロモーション・地域ブランド化の推進

シティプロモーションの推進につきましては、昨年4月から本格的に取組を開始し、子育て世代をターゲットに本市の魅力を発信し、認知度を高めるため、国際交流イベントやモニターツアーの実施、PR広告・動画、ウェブサイトの作成等に取り組んでおります。
引き続き魅力の発信の強化を図るとともに、ターゲットである子育て世代の移住・定住につなげていくための体制を整備してまいります。
地域ブランド化の推進につきましては、岩国ブランド推進基本方針に基づき、昨年6月に官民協働の「岩国ブランド推進協議会」を設置するとともに、本協議会を中心とした特産品のプロモーション活動、商品開発支援等の取組を行ってまいりました。更に販路拡大等を行うとともに、地域商社の立上げに向けた取組を行うことで、本市特産品の地域ブランド化を図ってまいります。

3豊かな自然と充実した社会基盤により快適に暮らせるまち(生活環境)

幹線道路整備の促進

幹線道路につきましては、広域的な都市間ネットワークの充実・強化を図る重要な道路であるとともに、渋滞緩和や災害に強い道づくり、岩国錦帯橋空港等の地域拠点施設へのアクセス向上の観点等からも不可欠のものであることから、岩国大竹道路の早期完成、岩国南バイパスの南伸の早期事業化及び岩国西バイパスの早期実現について、官民一体で国や県に対し強く要望してまいります。

岩国駅・南岩国駅の整備

JR岩国駅につきましては、昨年11月にバリアフリー化された東西自由通路と橋上駅舎の供用を開始しており、誰もが快適に岩国駅を利用できるようになりました。
引き続き、市の玄関口としてふさわしい交通結節点となるよう、地下通路の出入口改修については本年11月の事業完了を、東西駅前広場の再整備、東口駐輪場及び西口駐輪場連絡通路の整備等については平成31年度の事業完了を目指し、着実に進めてまいります。
JR南岩国駅につきましては、JR西日本が実施するバリアフリー化事業に併せて、駅前広場の整備や交差点改良を行い、駅周辺の交通環境の改善による交通結節点機能の強化及び利便性の向上を目指します。
これは、長期未着手となっている「南岩国駅前地区土地区画整理事業」の見直しを進める中、先行的に実施するもので、今後、商業、医療・福祉、教育施設等の更なる立地や居住等の促進を図るため、UR(独立行政法人都市再生機構)の支援を受けながら、南岩国駅を中心とした地域の生活拠点にふさわしいまちづくりを進めてまいります。

愛宕山運動施設

現在、愛宕山地区において国が整備を進めている愛宕スポーツコンプレックスのうち、野球場エリアにつきましては、昨年11月4日に本市の都市公園として開設し、多くの市民の皆様に御利用いただいております。
陸上競技場やロータスカルチャーセンターのあるエリアにつきましては、2月末の完成予定とされており、野球場エリアと同様に、市民の皆様にとって利用しやすい施設として、できるだけ早期に御利用いただけるよう、引き続き防衛省や米軍との調整を進めてまいります。

ごみ焼却施設の整備

ごみ焼却施設につきましては、日の出町に新しい焼却施設「サンライズクリーンセンター」の建設を進めており、平成31年4月からの稼動を予定しております。
また、隣接地には、新ごみ焼却施設から供給される電力や余熱を利用した「温水利用型健康運動施設」や「多目的広場」等からなる公園を平成31年度内の完成を目指し整備してまいります。

4誰もが安心・安全に暮らせるまち(安心・安全)

医療・防災交流拠点の整備

愛宕山まちづくり区域において整備を進めている多目的広場については、平常時には市民の誰もが憩い、集える施設として、災害発生時には医療センターや防災センターと連携し、近隣地域の避難所や物資の輸送拠点として活用することとし、平成32年度の完成を目指してまいります。

防災対策の充実

防災対策につきましては、災害の発生やそのおそれがある場合には、迅速な情報伝達が重要であることから、引き続き防災行政無線などの整備を進めるとともに、地域における防災の中心的な役割を担う自主防災組織が、災害発生時などにその役割が十分に果たせるよう、組織の自主的運営に向けた取組について支援をしてまいります。
また、平成32年4月には、現在の岩国地区消防組合中央消防署玖西出張所及び玖珂機関員駐在所の消防庁舎を統合移転する予定としております。
これにより、救急車両等の増車を始めとする消防力の強化が図られ、玖西地域はもとより、南河内、北河内地区への火災、救急出動にも迅速かつ機動的に対応できるようになり、地域の安心・安全が向上するものと考えております。

岩国医療センター跡地の活用

黒磯地区の岩国医療センター跡地につきましては、平成28年度から2か年をかけ、「まちづくり構想」の策定を進めております。
 本構想では、まちづくりの将来像を「誰もが支えあう地域支援と交流のまち」として、総合的な福祉・交流拠点の実現を目指しており、平成30年度から基本計画、基本設計の策定を進めてまいります。

安心・安全対策の推進

安心・安全対策につきましては、自治会が維持管理を行う防犯灯の電気料金の一部助成を、平成30年度から、全額助成に変更してまいります。
また、平成30年度からの3か年で、犯罪や事故等の未然防止のため、不特定多数の人が往来する道路や公共の場所に、防犯カメラを設置してまいります。
さらに、空母艦載機部隊の移駐に伴い、米軍関係者による車両往来の増加が見込まれ、交通ルールの違いを要因とする事故が懸念されることから、関係機関と連携して、米軍関係者を対象とした交通安全の実技講習会を開催し、交通事故の防止に努めてまいります。
このほか、小中学校における通学路につきましては、引き続き地域の状況に基づきLED照明の設置を進めていくとともに、通学路の危険な箇所の改善に取り組んでまいります。

5心の豊かさと生き抜く力を育む教育文化のまち(教育・文化)

地域と一体となった教育の推進

地域連携教育につきましては、コミュニティ・スクールを核として、中学校区ごとに構築された地域協育ネットの仕組みを活かして、学校・家庭・地域が連携・協働し、子供たちの学びや育ちを支援し、「地域とともにある学校づくり」を推進するとともに、「学校を核とした人づくり・地域づくり」への取組も合わせて推進してまいります。
また、「岩国市小中一貫教育」の基本方針・基本計画の下、義務教育9年間を通して継続的で一貫性のある教育を推進し、児童生徒一人ひとりの個性を伸ばし、それぞれの夢の実現につなげてまいります。

教育環境の充実

教育環境の整備につきましては、子供たちが、健やかに育ち、確かな学力を身に付け、たくましく成長していけるよう、小中学校の防災機能の強化やトイレの洋式化など、安心・安全で快適な学習環境の整備を進めるとともに、東小・中一貫校の校舎建設や施設の老朽化に伴う改修・改築等についても着実に取り組んでまいります。

文化・芸術の振興

文化・芸術の振興につきましては、市民会館が改修工事を経てリニューアルオープンいたします。
これに伴い、オーケストラの公演などの記念イベントを開催し、合わせて文化芸術に触れる機会を創出してまいります。
また、「文化芸術振興プラン」に基づき、新たに設立する岩国市文化芸術振興財団とともに、「錦帯橋芸術祭」を始めとした文化芸術の振興に関する施策を推進してまいります。

文化財の保護・活用

錦帯橋の世界文化遺産登録に向けた取組については、世界遺産暫定一覧表に早期に記載されることを目指し、錦帯橋を核とした新たな提案書の作成を進めてまいります。
また、錦帯橋世界文化遺産登録推進協議会を中心に、県や関係団体と連携し、登録に向けた市民意識の向上を図るとともに、世界に唯一である錦帯橋の価値を広く国内外に発信する事業を展開してまいります。

スポーツ活動の推進

スポーツ活動の推進につきましては、「スポーツでいわくにを元気に!」を理念として、市民健康スポーツのつどい等のスポーツイベントへの参加促進を図るなど、生涯スポーツ社会の実現を目指してまいります。
また、国際交流や地域スポーツの活性化を目指し、2020東京オリンピック・パラリンピック大会に向け、フェンシングやソフトボールの大会キャンプ地誘致活動を積極的に進めてまいります。
昨年11月にオープンした愛宕スポーツコンプレックスにおきましては、絆スタジアムやソフトボール場のみならず、今後、供用が始まりますロータスカルチャーセンターや陸上競技場を活用して、リレーマラソン等の日米交流イベント、プロ野球ウエスタン・リーグ公式戦、高校野球等、各種イベントの実施に向けて取り組んでまいります。
また、県立武道館につきましては、建設の実現に向け、今後も引き続き、県に要望してまいります。

国際交流の推進

国際交流の推進につきましては、在留外国人との身近な国際交流や多文化共生の地域づくりに取り組むことで、市民の国際感覚や多文化理解の意識を高めてまいります。
また、2020東京オリンピック・パラリンピック大会を契機とし、昨年7月、米国を対象国として登録されましたホストタウン事業にも着手し、文化、スポーツ交流等を通じ両国の友好の絆を深めてまいります。
さらに、基地を活用した英語教育の推進につきましては、英語教育を中核とした国際交流の推進など様々な事業を実施し、本市の将来を担う国際感覚豊かな人材の育成をしてまいります。

6支えあいと協働でつくる絆のあるまち(市民協働)

協働のまちづくり

協働のまちづくりにつきましては、市民一人ひとりが地域社会の一員であることを自覚するとともに、市民活動団体や自治会といった多様な主体と連携して、それぞれの特性を活かせるよう、「岩国市協働のまちづくり促進計画」に基づく取組を進め、協働のまちづくりの担い手の育成など、市全体に協働の輪を広げてまいります。

中山間地域の振興

本市の中山間地域においては、過疎化や少子高齢化の進行に伴い、農林水産業などの産業活動の低迷や深刻な担い手不足、耕作放棄地の増加、さらには、地域のコミュニティ機能の低下が懸念されています。
このような状況を踏まえ、持続可能で活力ある地域づくりを推進していくために、地域おこし協力隊などの外部人材の活用やUJIターン促進事業などの積極的な展開により、交流人口の増加や移住・定住の促進を図ることで、安心・安全に暮らし続けられる中山間地域の実現に向け、地域の皆様と協働して地域力の維持、活性化に努めてまいります。
農林水産業につきましては、農林水産物の生産だけではなく、農地や森林の持つ多面的機能が発揮されることや、海や川という市民の身近な憩いの場でもある自然環境を保全すること等により、地域の暮らしや産業を支えています。
本市の豊かな自然から生み出される農林水産物等の資源を次世代に引き継ぐためにも、「岩国市農林業振興基本計画」及び「岩国市水産業振興基本計画」に基づき、地域の特性を踏まえた持続可能な農林水産業の振興を図ってまいります。

未来につながる健全な行政経営に取り組むまち(行政経営)

行政経営改革の推進

行政経営改革につきましては、市民満足度の向上と持続可能な行政経営の実現を図るため、人材、資産、財源、情報といった限られた経営資源を有効に活用し、質の高い行政サービスを提供することにより着実に推進してまいります。
この一環としまして、本年7月からマイナンバーカードを利用して、住民票の写しや印鑑登録証明書などを全国のコンビニエンスストア等で取得できるサービスを開始することにより、多様化する市民ニーズに応え、更なる利便性の向上を図ってまいります。
そのほか、玖珂・周東の庁舎整備に当たっては、行政サービスの拠点としてだけでなく、市民活動や防災の拠点として、また、多様で総合的な機能が発揮できる複合施設として、平成32年4月の供用開始を目指し整備を進めてまいります。

公共施設等マネジメントの推進

公共施設等マネジメントにつきましては、「岩国市民のより良い未来のため、安心・安全で次世代に負担をかけない最適な公共施設等を目指す」ことを、昨年10月に策定した「岩国市公共施設等総合管理計画」の基本理念に掲げており、平成30年度から、「岩国市公共施設等アクションプラン」に基づき、個別施設の方向性の検討やインフラ施設の適切な維持管理などを推進してまいります。

財政基盤の強化

財政運営につきましては、昨年11月に策定した財政計画における財政見通しにおいて、歳入について、市税収入の伸びが見込めず、普通交付税等の段階的な縮減が進むことから、今後も更なる減収が見込まれております。
歳出においても、高齢化の進展などによる社会保障費や、大規模事業、公共施設等の維持管理などに多額の財源を要することから、これからも厳しい財政状況が続いていくものと見込んでおります。
また、大規模事業の実施に伴い、合併特例債などの市債発行額が増加していることから、市債残高は増加に転ずると見込んでおり、これが将来の財政負担となることが懸念されます。
こうした見通しを踏まえ、今後の財政状況を注視しながら、総合計画や「岩国市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に沿ったまちづくりに必要な施策を着実に実施していくとともに、財政計画に基づき、歳入の確保や歳出の合理化などに取り組み、財政基盤の強化に努めてまいります。

むすびに

以上、平成30年度の重要課題や主な取組について申し上げました。
最後になりますが、我が国においては、東京圏への一極集中が依然として続いており、特に地方の若者の減少については未だ歯止めがかけられていません。地方における若者の減少は、少子化の一層の加速と地方の空洞化を招き、将来に向けた経済社会の持続可能性に重大な懸念を生じさせます。
このような中、私は就任以来、「子育てするなら岩国市」を合い言葉に子育て施策を力強く推進してきました。
また、その施策について、本市や本市周辺の子育て世代を中心に積極的に情報発信し、「若い世代に選ばれるまち」を目指して取り組んでまいりました。
本市の人口は依然減少しているものの、転出者数が転入者数を上回る社会減については、一昨年、昨年とも改善するなど、明るい兆しも見えてきたところです。
本年は、「明治維新150年」の節目の年でもあります。
いつの時代も大きな変革の胎動は「地方」からであり、私もその維新の気概をもって、ふるさとの育てた偉人に学び、岩国の新時代を創ってまいります。
そして、この岩国で育つ子や孫、さらにはその次の世代が、新しい日本を創る人材となっていくことを期待しているところです。
今後とも、市民の皆様との協働の精神をもって、全力でまちづくりに取り組む決意でございますので、議員各位を始め、市民の皆様の御支援と御協力を賜りますようお願いを申し上げまして、私の施政方針といたします。