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【錦川清流線・椋野駅 末廣健児さんその4】

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年4月1日更新

美和中学校を卒業した後、岩国高等学校へ通うこととなりました。美和町は、前回ご紹介の通り町の三方をダムに囲まれています。つまり、「ダムができるほどの標高差がある」ということになりますね。そうした地形もあって、美和町には電車が走っていません。そこで、岩国市の中心部まで通学するのに欠かせなかったのが、“錦川清流線”でした。

錦川清流線は、その昔JRが国鉄だった頃は「岩日線(がんにちせん)」と呼ばれる路線でしたが、昭和62年の国鉄民営化に伴い第三セクター化され、現在の「錦川鉄道」となっています。また今年でちょうど錦川鉄道開業30周年を迎え、“玖北”(旧玖珂郡錦町・美川町・本郷村・美和町)の住民にとってなくてはならない生活基盤のひとつである、と言えるのではないでしょうか。

椋野駅の全景

実家からの最寄で、通学に使っていた駅はこちら。美和町のおとなり、美川町にある「椋野駅」です。実家からは、約10km離れています。

錦川清流線・椋野駅

静かな山間に、単線の線路が伸びています。高校生の頃は、朝はここから乗車して単語帳を片手に列車に揺られ、帰りはつい居眠りして乗り過ごし、ふと気がつくと錦町駅だったことも何度か・・・(約1時間に1本の列車で、携帯電話も持っていませんでしたので、それはもう大変でした・・・)。

椋野駅のホーム

待合のベンチに腰かけると、目の前にはこんな風景が広がります。

椋野駅待合ベンチから眺めた風景

線路がやや高いところを走っているので、錦川を見下ろすような形になります。橋の向こう側に国道187号線が通っており、そこからすぐ山肌が切り立っていますので、端的に言えば断面が「山・線路・川・道路・山」、ということになりますね。

道路と駅とをつなぐ橋の真ん中に立つと、錦川の流れを見渡すことができます。

椋野駅前の橋から見渡す錦川

訪れたときは雨のあとで少し水量が多くなっていましたが、それでも橋の上から川の中を泳ぐ魚の様子が見えました。周囲の緑が映り込んだ深い色合いは、いつ見ても心が和みます。


今年の10月、岩国マンドリンオーケストラ<外部リンク>の第60回定期演奏会が開催されましたが、それに際して新曲の委嘱を受けた際、「60回記念演奏会のメインの曲で、かつ故郷である岩国をイメージした作品をお願いしたい」とのリクエストを頂戴しました。岩国と言えば・・・と考えたときに、まず浮かんだのはやはり錦帯橋。そして、橋の凛々しさもさることながら、そのたもとを流れる錦川の美しさは言わずもがな、ですよね。私自身も3年間高校へ通学する間に、川沿いを走る清流線に揺られながら「ありふれた日常」としてこの写真でお届けしているような風景を目にしていたわけですが、それをふと思い起こした時に、「岩国市が錦川とともにあること」を再認識し、この「錦川」を曲のテーマに据えようと決めました。五橋にちなんで5つの楽章で構成し、出身地である美和町のような川の源流・上流から、岩国城や錦帯橋のある下流に向かって、また移り変わる四季の表情を織り交ぜながら・・・との構想が生まれ、ひとつの作品として仕上げることができました。岩国で目にしてきた様々な景色を思い描きながら譜面を書き進めることは、ふるさとへの思い入れの深まる作業でもありました。


・・・錦川清流線は、岩国高等学校がある川西駅から錦町駅までの32.7km。周囲の四季折々の景色とともに、山間を縫って錦川に沿って走る車両の姿はまさに「絵になる」風景です。また、錦町駅からは観光用のトロッコ遊覧車「とことこトレイン」<外部リンク>が走っていますし、沿線には洞窟探検ができるテーマパーク「地底王国・美川ムーバレー」<外部リンク>もあります(ムーバレーは、うちの子供たちが小さかった頃のお気に入りスポットで、5~6回は足を運びました!)。

美しい自然の中を走る錦川清流線

ぜひみなさんも清流線に乗って、錦川沿線をいろいろな楽しみ方でご堪能いただければと思います!


今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
いよいよ次週は最終回、「マンドリンと出会った場所」からお届けしたいと思います。


末廣 健児