ものづくり 澄川喜一さんその4
久しぶりに母校を訪ねた。
スカイツリーのデザイン監修を務めることになった。
我が国には飛鳥時代の法隆寺の五重塔をはじめ二十二棟現存し、台風や地震に耐えている。それは、30mを越す五重塔の中心を心柱が貫き、総ての木組構造が揺れを防ぐ工法になっており、日本独自の美しい姿で誰でも手をあわせたくなるような建造物である。それに負けない世界一の塔を作ろうとデザインされた。新しい技術を取り入れながら、鉄パイプ構造を選ばれた優れた溶接工が634mまで組み上げた。
現場で溶接工と話す機会があった。今息子は小学生だから大きくなったら、「お前の親父はスカイツリーを溶接で組み上げた男だぞ」と伝えたい。そして、工業高校を卒業し、技術を学んだ事などを語った。優れた技術者達のものづくりの力で世界一のモニュメントが完成したのである。
我が母校の岩国工業高校を訪ね、ここから新しい技術者達が生まれる事を願っている。
【文章・写真:澄川喜一】